第三章 そして、ミンスク(5)
【 ナイラ 】⑥
ミンスク中心部・独立広場 平和の鐘
広島・長崎・福島の土が埋められている
今回のG7は広島で行われました。
唯一の被爆国日本、そして被爆地の一つである広島を各国首脳が訪れ、原爆資料館を見学したこと自体は評価したいと思いますが、いくら核廃絶を目指すと言っても相変わらず「核抑止」の域を出ていない。
核はいけない、敵対する国が核を持つのは非難すべきことだ、核は廃絶しなくてはいけない(と、一応言葉では言っておく)が、敵対する国たちが核をなくさない限り自分たちは核を捨てない。
自分たちにはその正義があるのだ…。
結局こういうロジックです。自分たちは正義だから核を持つのは正当化されるということですね。であれば「核のない世界」なんてきれいごと言わなきゃいいし、会議の声明も「一応話題には上りました」程度のものならば必要ありませんね。
具体的な行動プランがないわけですから。
記者会見で、先の地元メディアの記者から
「原爆資料館を見学して印象に残った資料は何か?」
と聞かれたゼレンスキー大統領は、原爆投下後の破壊された広島の写真が(ウクライナの)破壊されたバフムトの風景に似ている、と答えましたが、原爆を投下したアメリカに遠慮したのか、こう答えるのを少しためらったようにも見えました。
ミンスクの中心部、独立広場にはBell of Nagasakiというモニュメントが置かれています。日本からの寄贈だそうですが、ここに広島、長崎、福島の土を入れたカプセルが埋められています。多くの市民がここで足を止めます。
旧ソ連時代、チェルノブイリ原発の事故でいちばん被害を受けたのは現在のベラルーシだと言われています。
それを乗り越えた経験があるこの国の人々は、日本同様に核の怖さを知っているんですよ。
少なくともアメリカやイギリスよりは…。