第三章 そして、ミンスク(5)
【 ナイラ 】④
ベラルーシメディアはすぐに反応した
的確な答えを返せないあの瞬間を見落とさなかった
結局このままではいつまでたってもこの紛争は終わらないのではと思います。2023年5月21日、ウクライナのゼレンスキー大統領がG7に参加しました。
目的は西側諸国の支援を取り付けること、つまり武器の調達をはじめとする軍事支援ですね。
大統領にとってその目的は十分に果たして満足だったでしょう。
しかし会議終了後のゼレンスキー大統領の記者会見でこんな場面がありました。地元広島のメディアからの質問です。
「(被爆者の中には、ゼレンスキー大統領が)国を守るための兵器などの支援を要請することも大事なのかもしれないが、せっかく被爆地広島を訪れているんだからも っと戦争を終わらせるための和平に向けた話し合いをした方がいいのではないか、
広島で行われるサミットで違和感がある、という声がある
その声にどう答えますか?」
同時通訳を聞く限りでは、ゼレンスキー大統領はこの問いに対して的確な返答をしていません。
来日前大統領は、
「侵略者がウクライナ国内にいる限りロシアと話し合いのテーブルにつくことはない。」
とツイートし、記者会見でも同じ主旨のことを述べています。
これでは質問に答えられるはずがないし、まして紛争が終わるはずもありませんね。
日本もアメリカに追従してロシアを非難するだけで、何一つ和平への独自の道筋を示しません。
西側が結束して真っ先に行わなければならないのは双方に対話を求める説得であって、軍事支援を優先課題にするというのは順番が違うんじゃないかと。
ベラルーシにいてわかることは、少なくともこちらは対話を拒んでいないということです。
こうしている間にも犠牲者は増えていっていること、そして西側の「全面支援」によってさらに犠牲者が増えることを日本も自覚すべきだと思います。