ICH E3は臨床試験成績を報告する際のガイドライン(指針)であり,治験総括報告書(CSR,clinical study reports)を作成する際に用いられる (1)。本ガイドラインはCSRを1章から16章まで項立てされているが,遵守すべき規制要件又はテンプレートではなく,適用にあたって柔軟性は認められている(2)。
CSRには4つの種類がある。ICH E3は主に完全なCSR(Full CSR)を想定したものであるが,その他に以下の3つがある(3)。
- Full CSR:完全な報告書。
- Supplemental CSR:日本語の対訳はない。
- Abbreviated CSR:簡略化された報告書。
- Synoptic CSR:日本語の対訳はない。
Full CSR(完全な報告書)は包括的に有効性と安全性データを記載する。
Supplemental CSRはFull CSRを補完する報告書である。主たる解析でない報告書,予定していない探索的解析を実施した報告書等として作成される。全てのセクションを作成する必要はなく,多くはFull CSRを参照すればよい。
Abbreviated CSR(簡略化された報告書)は有効性を主張する意図のない試験で用いられる。「方法」と「有効性」の記載が主に簡略化される。一方,簡略化された報告書においても安全性は包括的に記載する。
Synoptic CSRで扱う試験の特徴として,不十分なデザイン,十分に管理されなかった,試験が不完全であり中止した,プロジェクトが中止した等が挙げられる。Synoptic CSRでは被験者の内訳/臨床薬理/有効性データを中心に記載する。
このうち,完全な報告書と簡潔化された報告書については,ICH M4EのM5.2の表で記載が確認できるが(4),Supplemental CSRやSynoptic CSRについてはICH M4Eでは確認できない。更に通常CSRでは「本報告書の種類は~です」とは記載されない(最終/中間については明記する)。日本国内におけるSupplemental CSRとSynoptic CSRの利用の程度については不明である。
引用
(1)ICH E3(英・日)
(2)「治験の総括報告書の構成と内容に関するガイドライン」 に関する質疑応答集(Q&A)
(3)An Insider's Guide to Clinical Study Reports
(4)ICHM4 E(日)