虎子友人帳 ~雪女~ その1 | 八屋虎子。のブログ #女装男子

※本作品はフィクションであり、

作中に登場する人物、団体名等は全て架空のものです。

そういうことにしておいてください。

 

※更新は気まぐれです。

 

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払い屋になっての初仕事。

 

最近、雪女を見たと言う噂を

 

よく耳にする。

 

雪女の起源は古く、室町時代末期には、既に雪女にまつわる文献が出ていたそうだ。

 

呼び方は違えど、

白装束を身にまとい

男に冷たい息を吹きかけて凍死させたり、

男の精を吸いつくして●す事などは共通しており、

広く「雪の妖怪」として怖れられている。

 

『こんな真夏に雪女ねぇ。』

溶けかけたラクトアイスの

最後の一口をスプーンですくいながら

なみ子が独り言のようにつぶやく。

 

『クーラー要らずで、いいじゃん。電気代も浮くし』

そう言う神木くんは

この部屋唯一の空調機であるところの扇風機を独占している。

首振り機能虚しく、

神木くんの身体をそよ風が左右に舐める。

 

『絶世の美女っていう噂もあるくらいだから、

虎ちゃん一度会ってみたいんじゃないとー?』

“ガシャンッ!”

『あー!!』

 

俺が答えるよりも早く、

『ゆーちゅーばぁー』とプリントされたTシャツに

盛大にビールを溢すミサ。

 

『ちょwwwミサさん今日2回目www』

かおちゃんがケタケタ笑いながら、

さっとおしぼりを差し出す。

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昨年、陰陽道の学習院を卒業し、

晴れて払い屋の一員となった俺だったが、

物の怪や妖怪が出る方が珍しい昨今、

大した仕事もなく怠惰な日々に身をやつしている。

 

本日は東京支部のある

ここ有楽町にて

定例の意見交換会が行われていた。

 

当初こそ、自治体の会議室や

レンタルルームで行われていた意見交換会も、

ここ最近では、

大通りに面した雑居ビルの一室(神木くんの事務所兼住まい)に集まる

と言うのがお決まりになりつつある。

 

『意見交換・近況報告』

と言えば聞こえはいいが、

実際には暇を持て余した大人が

昼間から酒を煽りながらグダグダ駄弁ると言う、

月イチ同窓会にも似たイベントに

様変わりしていた。

 

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-17:00-

 

『じゃ、とりあえず今日はこれでお開きってことで、また来月ね〜

 

この時期、夕方と言えどもまだ辺りは明るい。

 

地方からの遠征組も多いため、

早めにそれぞれの地域に解散する。

 

都内組の俺はといえば

家が近いということもあり

神木くんと事務所の掃除を済ませてから

事務所を後にすることにした。

※実際にはルンバを二人で温かく見守るという作業。

 

-17:40-

自宅までは地下鉄で数駅。

片道20分もかからない場所にある。

 

ケータイ

→検索

→『雪女 対処 弱点』

 

念のため、そう念のためね。

 

時間つぶしも兼ねて

雪女に関するワードをググる。

 

引っかかるのはどれも

ゲームキャラクターの攻略方法や

『火』や『お湯』といったありふれたものばかり。

 

『火』ねぇ、

んまぁ、そりゃそうか。

 

「(火・・・。あ、しまった。)」

 

2駅進んだところで

事務所にタバコを忘れたことに気づく。

 

あー面倒くせぇなぁ。。。

 

面倒くせぇけど、

 

まぁ・・・仕方ない。

 

う~む。

 

戻るか。。。

 

神木くんに事務所に戻る旨をメールし、

上り電車に乗り換える。

 

(あれ?この無駄な往復の電車賃考えたら

 

地元のコンビニで新しくタバコ買ったほうが安くね?

 

いや、まだ改札は出ていないから

払い戻し的な事ができたような・・・

 

いやいや、実際には2駅ぶん進んでいるのだから

ここは正直に申し出て、その後の判断は駅員さんに任せて、、、

 

あ、いや別に言わなければ分からなくね?)

 

う~む。

 

などと考えているうちに

電車は有楽町駅へ到着。

 

ホームに下り改札へ向かう。

 

「歩きスマホはやめましょう!」の

張り紙を尻目に

 

帰りの電車時刻を

ケータイのNAVITIMEで調べながら

いそいそと歩いている。と、、、。

 

「ん!?」

 

突然、足裏の感触が

 

ホームのアスファルトの"それ"ではなくなった。

 

気がした。

 

(ん?なんだ??)

 

その違和感に足を止め、目をやる。

 

(これは、、

 

水たまり…いや、

 

氷?)

 

ふと、あたりを見渡す。

 

俺の足元だけでなく、


氷はホームの所々に

 

張っているようだった。

 

--------

 

すぐに雪女を連想したが、、、。

 

(いや、まさかな(笑))

 

(夏場に氷が張っていたからといって

これを

なんらかの霊象と

安易に結びつけるのは良くない。

 

んまぁ、地下鉄だし、

地表に染み出た地下水がどーのとか

業務用の冷房のうんぬんが

関係していてもおかしくないしな。)

 

(どちらにせよ、

俺一人じゃあどうしようもないし、

このまま事務所に行って

神木くんに話してみるか。)

 

そう思い直して

 

再び歩き出そうとした。

 

のだが。

 

一歩を踏み出そうとしたその時

バランスを崩して思わず転びそうになる。

 

(!!!)

 

(足が、動かないっ!)

 

氷の上に長く留まっていたからなのか

なんなのかは分からないが、

 

靴底と氷が

ぴったりとくっついてしまい

動くことが出来なかった。

 

(え。意味わかんないんですけど。)

 

昔、視聴者投稿のTV番組で

子どもが高い位置にある

冷凍庫のアイスを取ろうとして

顔が氷とくっついてしまい

レスキュー隊が出動したVTRを思い出した。

 

(いやでも、あれって、

人間の身体の表面の水分とくっついて。。。

 

え?俺のスニーカーの底ってそんなに水々しかった??)

 

などと

余計なことを考えながら

その場で

「うりゃうりゃ!」と足踏みすること数回。

 

(ダメだ。完全にくっついてる。。。)

 

(え。どうしよ。なんかこんな事で

駅員さん呼ぶの恥ずかしいな。。。)

 

(と、とりあえず、まずスニーカーを脱いでっと。。。)

 

と、スニーカーを脱ぐ動作に入ろうとしたのだが。

 

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(靴が、脱げないっ!)


(あれ?

 

マジ?

 

あぁ。。。

 

終わったわ~。)

 

もともと諦めは早い方だったが、

 

靴が脱げないくらいで

人生の終りを

悟ったのではない。

 

靴を脱ごうと

再び足元に目をやると

 

氷がいつの間にか

靴全体を覆っていた。

 

その氷は

まるで生き物のように

じわりじわりと

上へ上へと

身体を這い上がってくる。

 

(あー。はいはいはい。

このパターンね。

 

これが顔まで来たら

完全に氷漬けにされて

●ぬパターンのやつね。)

 

実際、これが霊象なのかは不明だが、

氷がまるで意思を持っているかのように

自分の身体を登ってこようとしてる。

 

-------

自分の心音が早くなっているのが分かる。

 

(あぁ。俺今めっちゃドキドキしてるわぁ。焦ってるわぁ。)

 

身体から嫌な汗が噴き出していることも分かる。

恐怖で足がガクガク震えているのもわかるし

(すでに膝下あたりまで氷が来ているから動けないんだけど)

助けを求めようと

ケータイを握る手が震えているのも分かる。

 

今すぐにでも

大声を出して

誰かに助けを求めるベキだろうに

それも出来なかった。

声が出なかった。

 

だから全然、冷静なわけじゃないんだけど、

でもどこかで

冷静な自分もいる。

 

言っている意味わからないよね。

言っている本人もよく分かっていない。

 

(あぁ、●ぬ時ってこんな感じなんだ、、、)

 

時の流れが

スローに感じ、

 

視界が

ぎょーんと

狭くなる。

 

周囲の音も

だんだんと

小さく。

 

--------

 

?『北を慰め、愛でる人はなし、

飛沫(シブキ)凍り、芽吹く色もなし。

寒霞(カンカ)の地には朱火(アケビ)を燈し、

君に鷽(ウソ)の訪れを告げん。』

 

聴き慣れた声が

突如頭に響く。

 

(このオサレな術口上は…

 

いや、まさかな…)

 

?『陽々灯籠!』

 

----------

 

あっつっぅ!!!

 

突然、全身を熱風に巻かれ

俺はその場に倒れこんだ。

 

というより

 

・・・倒れ込むことが出来た。

 

・・・動くことが出来た。

 

みると足にまとわりついていた氷は

(液体になる過程をすっ飛ばして)

一瞬にして蒸発していた。

 

?『やった♪上手くいった!やっぱり私ってセンスあるぅ~♪』

 

 

----次回に続きます--------

 

 

 

 

 

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