緊急事態宣言も解除になり、夫の実家のある上田市に帰省。90歳を超えた義母と三人で市内にある大江戸温泉物語鹿教湯(かけゆ)藤館に一泊してみた。
全国に35か所もあるらしい大江戸温泉物語。パンフレットのキャッチフレーズは「温泉と旅の楽しさを気軽に何度でも」だ。その通りに、義母はコロナ禍以前は毎月行っていた。
私は初めての大江戸温泉物語。義母もコロナ禍以後初めて。予想に過ぎないが、基本的につぶれた温泉旅館を居抜きで買い取るパターンだと思う。鹿教湯には藤館と桜館があるが、要は別々の近隣旅館を二軒買収し、作りのいい藤館を「本館」的扱いにして、食事はここでしか取れない。桜館には温泉はあるが食事処はなく、食事時はバスで送迎される。当然桜館のほうが安い。見えるところにあるが坂だし季節によっては暑いわ寒いわで歩くのは特に高齢者には難儀だろう。温泉はどちらの宿泊客も入れるが、私は移動が面倒で桜館の風呂には行かなかったし、藤館の野天風呂すら行かなかった。野天風呂とは露天風呂と違って藤館内ではあるが離れの建物にあり、外を移動しなくては行き来できず、また保全のためシャンプー、石鹸等も設置されていない。というわけで藤館内の内湯のみに入った。
お風呂はそれなりに広いが、お湯は特に色やにおいはない。同じく市内の別所温泉のほうがはっきり温泉らしい臭いがした。シャンプー等の基本的なものはあるが、くしはあってもブラシはない。スケルトンみたいなあれ。ドライヤーや化粧水的なものはある。
食事はすべてバイキング。どうするのかと思えば、食事を取りに行くときはビニールの手袋にマスク。席に戻って取って食事をし、再度取りに行くときは手袋とマスクを装着の繰り返し。なかなかの煩わしさだが致し方ないか。夕飯は90分縛りで、アルコールの注文はうち一時間。あっという間で飲み足りない。食事はまさかのマグロフェア。なぜ信州でマグロフェア。私は松茸フェアを期待していたのに。松茸ご飯でいいからさ。しかし行ってみればマグロもそこまで「フェア」でもなく。茶碗蒸しには松茸が一番上に張りついていた。食べてみて特に松茸の風味は感じないが、まあこれでいいか、茶わん蒸し自体は美味しいし、松茸他で食べてないし、と思ったが、信州人の義母と夫は「これは生の松茸ではない。塩漬けで保存されたものを塩抜きしたやつだろう」とかなんとか。真偽は定かでありませんが。朝食は早めに行ったのですぐ座れたが、出ていくときには長蛇の列ができていた。桜館からバスでどっさり移動してきたのかもしれない。朝食時も義母と夫は「ご飯が夕べの余り。朝炊いたものではない」。私はパンを食べていたので知らないが、パンは普通に美味しかった。でも私だとご飯食べても何も気づかないで食べていそうだ。
と、なんか文句ばかり書いているようだが、そもそもコスパの良さが売りの宿だ。紅葉前ではあったが10月下旬の信州の土曜日でひとり11,199円。食事も不味いわけじゃないし、和洋中いろいろ揃ってデザートやぶどうもあったし。部屋は充分きれいで広い。東南向きだかで窓も大きく部屋からの部屋からの見晴らしも悪くない。もとはそれなりの高級旅館だったと思われる。ただ洗面所は紙コップだし、お茶はパックで急須なし。温泉饅頭もチェックイン時に現物を人数分手渡された。皿なし。あとちょっといい温泉旅館にある「温泉セット」みたいなのがない。ビニールにタオルと歯ブラシ等一人分がまとめてあるやつ。よってお風呂帰りに濡れたものを入れるビニールがない。義母は別の宿のネーム入りビニール袋を持参済み。ちょっといい宿はお風呂に行くための籠のようなものがあったりするが(スパバック的な)当然ない。浴衣はあるが、持って帰っていい温泉靴下みたいなものもない。あたしはあれをしっかり持ち帰り繰り返し使う。室内用靴下として重宝するんだけどな。
要は義母が友達と連れ立って毎月行ってたくらいのカジュアルな宿泊施設だ。当たり前だが一泊2万以上のクラスの宿と同等のサービスを期待してはいけない。でも思ったのは、もしかしたらその一泊2万ちょっとくらいの宿のほうが総合的に見たコスパはいいのかもしれない。しかし義母は「お風呂も広くていい」とえらく気に入ってる。私も別にまた行っても構わないし、別の大江戸もどんなもんだか泊まってみたい気もする。宿によって価格がビミョーに異なる。
どうでもいいが、卓球台などがある遊戯室に「無重力マッサージチェア」なるものが置いてあって夫が試していた。15分300円。見た目最新高級マッサージチェアといった感じだ。夫曰く、よくある感じのマッサージチェアとは違う感触らしいが、「こりゃハマる」というほどでもないとのこと。ただうち夫は食べ物にせよ映画等のエンタテイメントにせよ「こりゃハマる」ってタイプじゃないんだけどね。
上田に帰省したのは2020年の元日に亡くなった叔父の葬儀に参加して以来だ。

