アーカイヴス その12 上には上がいる | やせっぽちのヒロシのブログ

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音楽とお酒が大好きです。
趣味は国際交流?(笑)。

私がライヴに行きまくっていた頃の5日間の記録です。

 

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久々にハード・スケジュールを組んでしまいました。

9/7 Blondie @ O-East
別にファンという訳ではなかったけれど、親しんだ曲はいくつかあったし、フェアウェル・ツアーというのも気になって(ダマされて?)、足を運んだので、全く期待はしていなかった。
しかし伊達に40年近くショービジネスに居た訳ではないことを証明するかのようなサービス精神に溢れ、楽しいライヴ。
ハッキリ言ってしまえば、ウバ桜的な雰囲気のデビーだったけれど、そうした自覚をしっかり持った上でのパフォーマンスだったように思う。むしろ若い頃よりも声に艶があったし、集まった客も、いいオッサンたちが、昔憧れだったお姉さまの久々の晴れ舞台を温かく見守って....というよりも熱い声援をおくっていた。彼女の表情もすごく良かったなぁ。
何よりも思い知らされたのが当時のヒット曲の完成度の高さ。
「The Tide Is High」(これは有名なレゲエのカヴァーだけど)や「One Way Or Another」なんて、まわりのオッサンたちと一緒に歌ってしまったし(笑)。

9/8 ふちがみとふなとと加藤千晶 @ Manda-La 2
昨年日本人のアルバムで、一番スゴイと思ったのがふちがみとふなとの「ヒーのワルツ」。そして一番よく聴いたのが加藤千晶の「おせっかいカレンダー」だった。
その両者が共演すると聞いたら、たとえその日が仕事の最もハードな金曜日であっても、行かなくちゃだわ。
加藤千晶という人は本当にセンスのいいミュージシャンだと思う。ヴォーカルも可愛い。自作の歌は本人のキャラクターを生かした童話的な歌詞に、よくロールするピアノが楽しく、NRBQとの交流も頷ける。
関島岳郎のチューバをはじめとするサポート・ミュージシャンも彼女の歌と演奏に彩を与えており、誤解を恐れずに言えば、ヴァン・ダイク・パークスの「ソング・サイクル」にも共通した面白さがあった....っていう感じ?
一方のふちがみとふなとを、見るのはもう何度目だろう。
一時期よく大熊ワタルと千野秀一を加えた、ふちがみとふなとカルテットでのライヴも行なっていたが、最近は二人だけのステージでも充分密度が高く、風格すら感じるようになった。
船戸博史のスウィングするベースに、時に叙情的、時にコミカルに、また時にはじける渕上純子のヴォーカル。
洋楽のカヴァーをやっても、本人たちの個性が強いせいか、ほとんど違和感がない。
スッとぼけたMCは相変わらずだけど、彼らの音楽はどんどん濃密になっていくように思えた。
で、最後は二組の共演となったが、これがまた何と言うか....(笑)。一番楽しんでいたのは本人たちかも?

9/9(夕) SONYA KITCHELL @ Cotton Club
またまたコットン・クラブの優待割引で行ってしまいました。
しかし、土曜日の夕方、それも昨年CDが発売された時には結構話題になった人なのに、この閑散とした客の入りは?
東京JAZZ2006 MARUNOUCHI JAZZ CURCUITと銘打たれ、実際CDショップでもジャズ・ヴォーカルのコーナーに置いてあるけれど、歌われる作品は本人の自作と思える曲ばかりで、彼女自身アコースティック・ギターを弾いて歌うし、バンドもベースがウッド・ベースなくらいで普通のロック・バンドの編成、オマケにギタリストの弾くフレーズはオルタナ・ロック風ときては、およそジャズというイメージからはかけ離れている。
思えばノラ・ジョーンズ以来、「え?、何でこの人が?」というような人がジャズ・ヴォーカル扱いで売られているけれど、何で?
さて、肝心のソーニャの歌に関しては、どれも似たような曲調でメリハリがなく、途中で飽きてしまった。正直なところ何故それほど話題になったのかが理解できない。
ジョニ・ミッチェルの影響とかは確かに感じるものの、体形はローラ・ニーロに近かったかな(笑)。

9/9(夜) LOVEJOY @ Manda-La2
コットン・クラブを出て、即東京駅から中央線で吉祥寺に向かい、前日と同じくマンダラ2へ。
ラブジョイを見るのは2年半ぶりかな?
一癖も二癖もあるミュージシャンたちが揃っているのに、何故?ってくらいにポップで哀愁のある曲が次々に演奏されていく。
そして、どこまでもポジティヴな歌詞とbikkeの(あまり上手いとは言えないが)せつなくもまっすぐなヴォーカルに泣ける。
多分若い頃だったら絶対バカにしてしまっただろうけれど、オジンになった今だからこそ、そうした歌が妙に染みるのかも。
その辺は多分ソウル・ミュージック好きの人なら判ってくれると思うんだけど。
久々に服部夏樹のギターもたっぷり聴けたのも嬉しかった。
ところで、この日のライヴ、やたらミュージシャンが多く観に来ており、僕のすぐ後ろには上々颱風の妖艶なお姉さま白崎映美とさかなのポコペンがいて、休憩中は二人の会話についつい聞き耳をたててしまった。

 

9/10 Andy Roberts & Ian Matthews @ ANTIKNOCK
イアン・マシューズは特にファンという訳ではないし、アンディ・ローバーツに至ってはプレインソングの活動以外は全く知らないけれど、やはり来日するからには観に行くべ....ということで、例によってY氏とチケットを買ったもの。
それにしても何でこんなところで?と思うくらい粗末なハコで、多分普段はアマチュア・バンドが知人を2~30名くらい集めてやっているような所みたい。指定席とはなっていたが、3人掛けベンチに4人無理やり座らされ、キュークツこの上なかった。
第一部はアンディで、当然全くレパートリーも知らないし、それもギターの弾き語りで60分というのは少々ツラかった。ギターの上手さは光っていたんだけれど。
そうそう、ひとつ英語を教わりました。"Shotgun Wedding"。出来ちゃった婚のことだそうです。
休憩後の第二部はイアン。さすがにこの人はポップ畑にまで進出した過去があるだけに、歌もいいし、曲もそれなりに魅力がある。途中で、Tレックスの"Get It On"やピンク・フロイドの"Breathe"を下敷きにしたことがモロバレの自作曲を披露したり、楽しませてくれた。
自分のファンには、自身の曲のファンと、他人の書いた曲を彼なりに表現した歌を好きなファンと両方がいる....と説明した後で歌われたヴァン・モリソンの"Crazy Love"は素晴らしかった。
だけどヒット曲"Woodstock""Shake It"を歌わなかったのは何故?
結局それぞれが1時間くらいずつソロでやったあと、最後にアンコールを含めて40分くらい二人で共演という形をとったが、イアンの歌とギターに、アンディのハーモニーとリード・ギター。このスタイルが最も聴きやすく、はじめからこうするか、ソロと共演を交互に織り交ぜてやってくれれば、もっと楽しかったと思うんだけど。

9/11 John Cowan Band @ Club Quattro
昔レコード店でブルーグラス&カントリーを担当していたため、それらのレコードを色々と聴くようになり、来日公演があれば見に行ったりもしたが、その中でダントツに良かったの1984年のNew Grass Revival(Sam Bush, John Cowan, Bela Fleck, Pat Flynn)だった。
そのメンバーのひとりジョン・コーワンが自身のバンドを伴って来日ということで楽しみにしていたが、一方でN.G.R.はレイドバックした(演奏はアグレッシヴだが)サムの歌とパワフルなジョンの歌との対比で成り立っていた部分もあったので、ジョンがメインで2時間というのは少々キツイのではないかという危惧もあった。
しかし、フタを開けてみれば、ジョンは確かにシャウトしまくっていたものの、適度に抑えも利いていて、メンバーもユニークな演奏を随所で聴かせてくれるし、例によってブルーグラスの枠にとらわれない、終始盛り上がった楽しいライヴだった。
勿論オーセンティックなブルーグラス・クラシックスもあれば、フィドル奏者がモロにステファン・グラッペリするかのようなスウィング曲もあったけれど、全体的な印象としては、ヘヴィメタ・グラスって感じ?
ジョンはかつてソウルのカヴァー・アルバムを出したこともあるせいか、よくソウルフルと形容されることがあるけれど、あの歌い方はやっぱりヘヴィメタだよね。でも、いい声をしていると思う。個人的にはもう少しN.G.R.時代の歌も聴きたかった。
僕はこの日受けを狙って昔N.G.R.が所属したレーベルFlying FishのTシャツを着ていたんだけど、サイン会のとき、ジョンが反応してくれて「Nice T-shirt」と言ってくれた。
いい演奏を聴いた後だっただけに、気分が良かったなぁ。

ところで、この5日間で、チケットを一緒に買ったり予約したりしたY氏と何度か会ったのは当然としても、そのY氏やTw氏の共通の友人であるM氏とも3回お会いしている。
ジョン・コーワンの後、そのM氏の知人であるTm氏共々ちょっと一杯ひっかけたが、おそるおそる「今月これで何度目?」と尋ねたら、「今月何も見なかったのは、一日だけかなぁ」とのこと。
なるほど、会ってしまう訳だ。
上には上がいるということを改めて実感した次第です(笑)。

 

2006年9月16日 記

 

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今読み返してみても、我ながらよくも5日間で6本もライヴに行ってしまったものだと感心してしまいます。

勿論この当時はまだ40代末くらいで体力もありましたし、財力も今の倍はありましたし、また個々のライヴの金額も今の2/3くらいだったというのもあったでしょうね。収入が激減し年金頼りの生活になった今、アベノミクスのツケは大きいです。

ちなみに、最後のジョン・コーワンは近年ドゥービー・ブラザーズの(正式なメンバーではないようですが)ベース奏者としてツアーに参加しており、昨年の来日公演にも同行しています。