㊵ 2次式は完全平方式に | 学力の創造と向上 高校・大学受験は通過点

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学力の創造と向上において
何が必要か・何が障害になるのか
などについて考えます
  さらに、必要なものをいろいろ提供してゆきます 

        ㊵ 2次式は完全平方式に

  ○ 次の [  ] ~ [  ] に適切な数・不等号を入れてください。

   (1)  t ² + 3 t + 2 ≧ [  ]  ただし、t  は 実数である。

   (2)  y =-x ² + 2 x + 2 ・ ・ ・ ・ ・ ① の 頂点の座標 は ( [  ] , [  ] ) である。
      また
       y = f (x) は、① を x 軸方向に p , y 軸方向に q だけ平行移動したものである。

    ⅰ) 2 ≦ x ≦ 4 で 
f (x) の最大値が f (2) になるような p の値の範囲を求めると
         p 
[  ] [  ]
       であり、
最小値が f (2) になるような p の値の範囲を求めると
         p [  ] [  ]
       である。

    ⅱ) 
f (x) > 0 の解が -2 < x < 3 になるのは
         p = 
[  ] , q = [  ]
       のときである。

      
  
- 1/4
        1     3
      
  ≦    1
      
  ≧    2
      
  
-1/2
      
  
13/4


 (1) について

    「 x ² + 3 x + 2 ≧ [   ]  ただし、x は 実数である。」 という
    x の2次式なら 解けるのに、
    「 t ² + 3 t + 2 ≧ [  ]  ただし、t  は 実数である。」 という
    t など他の文字の2次式だと できない生徒がいます。
   また、
    「 x ² + 3 x + 2 ≧ [   ]  ただし、x は 実数である。」 という問いに
    解の公式を使う生徒がいます。

   x であろうと t であろうと
   
実数である文字の2次式 の (最大値・) 最小値 を求めることだ
   と
判断する・できることが大切です。

   2次式の最大値・最小値を求めるには、
    完全平方式をつくり
      
実数の性質を使うか、
     あるいは
      2次関数として 向き 軸 頂点 をおさえて グラフを利用する。
       x などの文字の範囲 (
区間 ) があれば、
       区間の
中点に注意しながら
       記号 f (x) や f (t) などを使って 端点値 を。

 ( 解答 )

        t ² + 3 t + 2
     = 
t ² + 3 t + 9/4 - 9/4 + 2
     = ( t + 3/2 ) ² - 1/4

        t + 3/2 は
実数だから

        ( t + 3/2 ) ² ≧ 0
        ( t + 3/2 ) ² - 1/4 ≧- 1/4
     ゆえに
      t ² + 3 t + 2 ≧- 1/4
     である。



 (2) について
   この問題は、今年の大学入試センター試験 数Ⅰ・Aの100点のうちの
20点分です。

 ( 解答 )
   y =- x ² + 2 x + 2
     =- ( x ² - 2 x ) + 2
     =
- ( x ² - 2 x + 1 - 1 ) + 2
     =- ( x - 1 ) ² + 1 + 2
     =- ( x - 1 ) ² + 3
    向き 上に凸
    軸   x = 1
    頂点 ( 1 , 3 )  
5 点

 ⅰ)
   y = f (x) は、① を x 軸方向に p , y 軸方向に q だけ平行移動したものであるから
    f (x) - q- ( x - 1 - p ) ² + 3
       f (x) =- ( x - 1 - p ) ² + 3 + q
    向き 上に凸
    軸   x = 1 + p
    頂点 ( 1 + p , 3 + q )

   2 ≦ x ≦ 4 で 
f (x) の最大値が f (2) になるには、
   向き区間と軸の位置関係 を考えると
    1 + p ≦ 2
   すなわち 
    p ≦ 1 である  
5 点

   2 ≦ x ≦ 4 で 
f (x) の最小値が f (2) になるには、
   向き区間の中点と軸の位置関係 を考えると
    3 ≦ 1 + p
   すなわち 
    p ≧ 2 である  
5 点

 ⅱ)
      -2 < x < 3
   ⇔ ( x + 2 ) ( x - 3 ) < 0
   ⇔  x ² - x - 6 < 0
   ⇔ - 
x ² + x + 6 > 0

  f (x) > 0 の解が -2 < x < 3 になるのは
   - ( x - 1 - p ) ² + 3 + q = - x ² + x + 6
                       = - ( x ² - x ) + 6
                       =
 - ( x ² - x + 1/4 - 1/4 ) + 6
                       = - ( x - 1/2 ) ² + 1/4 + 6
                       = - ( x - 1/2 ) ² + 25/4
   より
    1 + p = 1/2 かつ 3 + q = 25/4
   すなわち
    p = -1/2 , q = 13/4  のときである
        
2 点      3 点

 

【 2次式は完全平方式に変形する 】

 2次式を完全平方式にする
 最初の機会は、
  2次方程式の解の公式を
導くとき
 次は、
  2次関数の(向き) 軸 頂点 を求めるとき

 2次式を完全平方式に変形できるから
  ・ 解の公式を導ける
  ・ 放物線 の 軸 頂点を求められる

   2次式を完全平方式に変形するために
    展開・因数分解の
     乗法公式
      ( a ± b ) ² = a ² ± 2 a b + b ²  
   ( 2項式の2乗 は 2乗 積の2倍 2乗の3項式 になる ただし、積の2倍の符号に注意 )
   を学んだ

   この公式 から 1次の係数の
半分の2乗 を足せば、
   2乗 積の
2倍 2乗の3項式になり
   2項式の2乗 ( 完全平方式 ) にできることを知る

        x ² ± 2 a x
      = x ² ± 2 a x + a ² - a ²
      =   ( x ± a ) ² - a ²

 乗法公式を利用して、完全平方式をつくる!

 完全平方式を使って解の公式を導く!

 完全平方式を使って2次式の最大値・最小値を求める!

1つの知識を利用し、新たな知識を得て、問題解決のための知識体系ができる。


知識はバラバラでなく、できるだけ関連させ知識体系を意識して 身につける。

2次関数、2次方程式、2次不等式はバラバラでなく、
関係づけて体系的に身につけてください。



次回は、テーマ 「 思いつき と 考え 」 の
           記事 「 ひき算の概念 」 
につづきます。