⑲ 『 二等辺三角形 』
○ 次の[ ] に適切な語句・式などを入れてください。
命題 「 二等辺三角形 は 2つの (底) 角が等しい三角形である。」 の 逆、
「 2つの角が等しい三角形 は 二等辺三角形 である。」 の真偽を判定するために証明します。
証明する前に
逆の [ 仮定 ] は 「 2つの角が等しい三角形がある。」 であり、
[ 結論 ] は 「 その三角形は、二等辺三角形である。」 である。
まず、(証明のための)仮定を用意します。
∠A B C = ∠A C B の三角形A B C をかきます。
すると、
結論 は AB = AC です。
よって、
AB と AC を それぞれ1辺とする2つの三角形 が 合同 であることが必要となる。
前問 と同様に、テクニカルな方法で 2つの三角形 をつくりましょう。
三角形A B C の 2つの辺 AB と AC を それぞれ含む2つの三角形をつくるわけですから。
頂点A に注目します。頂点A から その対辺BC に直線を引けば、
AB と AC を それぞれ含む2つの三角形 ができます。
さらに、
このできた2つの三角形が [ 合同 ] でなければならないから、
直線の引き方に もうひと工夫 必要です。
その工夫は、∠C A B の [ 二等分線 ] です。
頂点から補助線をひく。
その補助線は、[ 角の二等分線 ] である。
この証明は、三角形の合同証明のところで
{ 辺が等しい という主張 } として使えるものが [ 1 ] つしかないことに注意すべし。
( 証 明 )
∠A B C = ∠A C B の三角形A B C において、
∠C A B の二等分線 と 辺BC との交点を M とする。
△A B M と △A C M について
根拠 共通の辺だから、
主張 [ AM = AM ] ・ ・ ・ ①
根拠 ∠C A B の [ 二等分線AM ] より、
主張 [ ∠B A M = ∠C A M ] ・ ・ ・ ②
根拠 [ 仮定 ] より、
∠A B C = ∠A C B ・ ・ ・ ③
[ 三角形の内角の和 ] は 180°だから、
∠B M A = 180°- [ ∠A B C ] - [ ∠B A M ] ・ ・ ・ ④
∠C M A = 180°- [ ∠A C B ] - [ ∠C A M ] ・ ・ ・ ⑤
②, ③, ④, ⑤ より、
主張 [ ∠B M A = ∠C M A ] ・ ・ ・ ⑥
①, ②, ⑥ より、
合同条件 [ 1辺とその両端の角がそれぞれ等しい ] から、
△A B M ≡ △A C M
合同な図形の対応する辺は等しいから、
[ AB = AC ] である。
よって、△A B C は [ 二等辺三角形 ] である。
以上より、
2つの 角が等しい三角形 は、二等辺三角形である。
( 証 明 おわり )
この証明により、
逆の「 2つの角が等しい三角形 は 二等辺三角形 である。」 が [ 真 ] であると判定できる。
ここまでで、二等辺三角形 について わかったこと。
『 2辺の等しい三角形 』 (定義より)
『 2つの (底)角が等しい三角形 』 ( 『二等辺三角形』 と 同値 ∵ この逆 と もとの命題 の 2つの証明 より )
さらに、
二等辺三角形について もう2つ 把握しましょう。
○ 次の[ ] に適切な語句・式などを入れてください。
(1) 命題 「 二等辺三角形の頂角の二等分線 は 底辺を 垂直に 二等分する。」 の真偽を判定するために証明します。
証明する前に
この命題の [ 仮定 ] は 「 二等辺三角形があり、その頂角の[ ] がある。」 であり、
[ ] は 「 その二等分線は、底辺を[ ] に二等分する。」 である。
(証明)
AB = AC の二等辺三角形A B C において、
頂角A の二等分線 と 底辺BCの交点を M とする。
[ ] と △A C M について
根拠 仮定より、
主張 [ ] ・・・ ①
根拠 [ ] より、
主張 [ ] ・・・ ②
根拠 共通の辺だから、
主張 [ ] ・・・ ③
①,②,③ より、
合同条件 [ ] から、
△A B M ≡ △A C M
合同な図形の対応する[ ] や [ ] は等しいので、
BM = CM ・・・ ④
∠A M B = ∠A M C ・・・ ⑤
④ より、
点M は 辺BCの[ ] である。
⑤ と ∠A M B + ∠A M C = 180°[ ∵ [ ] は 180°だから ] より、
∠A M B = ∠A M C = [ ] だから、
AM ⊥ BC である。
以上より、
頂角C A B の二等分線AM は、底辺BCを 垂直に 二等分する。
(証明おわり)
この証明により、
命題 「 二等辺三角形の頂角の二等分線は、底辺の垂直二等分線である。」 は [ ] である。
(2) 命題 「 二等辺三角形の中線 (頂点と底辺の中点を結ぶ線分) は 底辺に 垂直である。」 の真偽を判定する
ために証明します。
証明する前に
この命題の [ ] は 「 二等辺三角形があり、頂点と底辺の[ ]を結ぶ中線がある。」 であり、
[ 結論 ] は 「 その中線は、底辺に[ ]である。」 である。
注意すべし。
三角形の合同証明のところで、使える { 角についての情報 } は全くない。
(証明)
AB = AC の二等辺三角形A B C において、
点A と 辺BCの中点M を線分で結ぶ。
[ ] について
根拠 [ ] より、
主張 [ ] ・・・ ①
根拠 [ ] だから、
主張 AM = AM ・・・ ②
根拠 辺BC の[ ] は M だから、
主張 [ ] ・・・ ③
①,②,③ より、
合同条件 [ ] から、
△A B M ≡ △A C M
合同な図形の対応する [ ] は等しいので、
∠A M B = ∠A M C ・・・ ④
④ と ∠A M B + ∠A M C = 180°[ ∵ 一直線 は 180°だから ] より、
∠A M B = ∠A M C = [ ] だから、
AM ⊥ BC である。
(証明おわり)
この証明により、
命題 「 二等辺三角形の中線 (頂点と底辺の中点を結ぶ線分) は 底辺に 垂直である。」 は 真 である。
次回の ⑳ 『 角の二等分線の作図 』 に続きます。