⑱ 『 命題の逆 』
○ 次の[ ] に適切な語句・式などを入れてください。
命題 「 二等辺三角形 は 2つの (底) 角が等しい三角形である。」 が
正しいか、正しくないか判断するために証明します。
証明する前に
この命題の [ 仮定 ] は 「 二等辺三角形がある。」 であり、
[ 結論 ] は 「 それは、2つの (底) 角が等しい三角形である。」 である。
まず、(証明のための) 仮定を用意します。
二等辺三角形A B C をかきます。定義より、AB = AC の二等辺三角形A B C を。
二等辺三角形の等しい2辺の間の角を [ 頂角 ] といい、他の2角を [ 底角 ] という。
AB = AC の二等辺三角形A B C だから、底角は [∠A B C ] と [∠A C B ] である。
すると、結論 は ∠A B C = ∠A C B である。
よって、
∠A B C と ∠A C B を それぞれ内角とする2つの三角形 が 合同 であることを証明することになります。
次に、2つの三角形をつくりましょう。
テクニカルな方法を使います。
二等辺三角形A B C の2つの底角を それぞれ含む2つの三角形をつくるわけですから。
頂点A に注目します。頂点A から 辺BC (底辺) に直線 ( 補助線 ) を引けば、
∠A B C と ∠A C B を それぞれ含む2つの三角形 ができます。
さらに、
このできた2つの三角形が [ 合同 ] でなければならないから、
直線の引き方に もうひと工夫 必要です。
その工夫は、この直線 が 頂角C A B の [ 二等分線 ] である ということです。
頂点から補助線をひく。
その補助線は、(頂) 角の二等分線 である。
( 証 明 )
AB = AC の二等辺三角形A B C において、
頂角A の二等分線 と 底辺BC との交点を M とする。
△A M B と △A M C について
根拠 [ 仮定 ] より、
主張 [ AB = AC ] ・ ・ ・ ①
根拠 共通の辺だから、
主張 [ AM = AM ] ・ ・ ・ ②
根拠 ∠C A B の [ 二等分線AM ] より、
主張 [ ∠M A B = ∠M A C ] ・ ・ ・ ③
①, ②, ③ より
合同条件 [ 2辺とその間の角がそれぞれ等しい ] から、
△A M B ≡ △A M C
合同な図形の対応する角は等しいから、
∠A B M = ∠A C M すなわち ∠A B C = ∠A C B である。
以上より、
二等辺三角形 は 2つの (底) 角が等しい三角形である。
( 証明おわり )
この証明により、
命題 「 二等辺三角形 は 2つの (底)角が等しい三角形 である。」 が [ 正しい ] と判断できる。
○ 次の[ ] に適切な語句・式などを入れてください。
命題 「 二等辺三角形 は 2つの (底) 角が等しい三角形である。」 の 逆、
「 2つの角が等しい三角形 は 二等辺三角形 である。」 の真偽を判定するために証明します。
証明する前に
逆の [ ] は 「 2つの角が等しい三角形がある。」 であり、
[ ] は 「 その三角形は、二等辺三角形である。」 である。
まず、(証明のための)仮定を用意します。
∠A B C = ∠A C B の三角形A B C をかきます。
すると、
結論 は AB = AC です。
よって、
AB と AC を それぞれ1辺とする2つの三角形 が 合同 であることを証明することになる。
前 証明 と同様に、テクニカルな方法で 2つの三角形 をつくりましょう。
三角形A B C の 2つの辺 AB と AC を それぞれ含む2つの三角形をつくるわけですから。
頂点A に注目します。頂点A から その対辺BC に直線を引けば、
AB と AC を それぞれ含む2つの三角形 ができます。
さらに、
このできた2つの三角形が [ ] でなければならないから、
直線の引き方に もうひと工夫 必要です。
その工夫は、∠C A B の [ ] です。
頂点から補助線をひく。
その補助線は、[ ] である。
この証明は、三角形の合同証明のところで
{ 辺が等しい という主張 } として使えるものが [ ] つしかないことに注意すべし。
( 証 明 )
∠A B C = ∠A C B の三角形A B C において、
∠C A B の二等分線 と 辺BC との交点を M とする。
△A B M と △A C M について
根拠 共通の辺だから、
主張 [ ] ・ ・ ・ ①
根拠 ∠C A B の [ ] より、
主張 [ ] ・ ・ ・ ②
根拠 [ ] より、
∠A B C = ∠A C B ・ ・ ・ ③
[ ] は 180°だから、
∠B M A = 180°- [ ] - [ ] ・ ・ ・ ④
∠C M A = 180°- [ ] - [ ] ・ ・ ・ ⑤
②, ③, ④, ⑤ より、
主張 [ ] ・ ・ ・ ⑥
①, ②, ⑥ より、
合同条件 [ ] から、
△A B M ≡ △A C M
合同な図形の対応する辺は等しいから、
[ ] である。
よって、△A B C は [ ] である。
以上より、
2つの 角が等しい三角形 は、二等辺三角形である。
( 証 明 おわり )
この証明により、
逆の「 2つの角が等しい三角形 は 二等辺三角形 である。」 が [ ] であると判定できる。
命題 「二等辺三角形 は 2つの (底) 角が等しい三角形 である。」
「二等辺三角形 ならば 2つの (底) 角が等しい三角形 である。」
その逆 「2つの 角が等しい三角形 は、二等辺三角形 である。」
「2つの 角が等しい三角形 ならば 二等辺三角形 である。」
命題 と その逆 (もとの命題の 主語の部分と補語の部分 あるいは ならばの前後 を入れ替えた) が
ともに 正しい とき、
高校数学では、『 主語の部分 と 補語の部分 ( あるいは ならばの前後 ) は、同値 である。』 という。
あるいは 『 主語の部分 は 補語の部分 であるための 必要十分条件 である。』 という。
つまり、
命題 「 二等辺三角形 ⇒ 2つの (底)角が等しい三角形 」 が 真 であり、
その逆 「 2つの 角が等しい三角形 ⇒ 二等辺三角形 」 が 真 である。
ならば、
「 二等辺三角形 ⇔ 2つの (底)角が等しい三角形 」 である。
( 必要条件 ・ 十分条件については、補講 『 平方根のある問題から学ぶこと 』 を参照してください。)
次回の ⑲ 『 二等辺三角形 』 に続きます。