⑩ 『 能力を獲得していないと認知症? 』
ひき算の能力 と 形 (図形) を判断する能力 を確認しましょう。
○ M M S E (ミニメンタル・ステート検査) (30点満点) の
設問 4 ( 5点 ) ,
設問 11 ( 1点 ) に
答えられますか?
27 ~ 30点 ・ ・ ・ ・ 正常値
22 ~ 26点 ・ ・ ・ ・ 軽度認知障害の疑いがある
21点 以下 ・ ・ ・ ・ 認知症などの認知障害がある可能性が高い
と判定されます。
設問 4
注意! 設問 4 は 暗算ですること、紙と鉛筆を使ってはダメです。誤答すれば、その時点で中止します。
先ず 「 100 から 7 を引くと いくつ?」 と問われます。
答えが合えば、次に 「 では、それ から 7 を引くと いくつ?」 と問われます。
答えが合えば。さらに 「 では、それ から 7 を引くと いくつ?」 と問われます。
答えが合えば。さらさらに 「 では、それ から 7 を引くと いくつ?」 と問われます。
答えが合えば、さらさらさらに 「 では、それ から 7 を引くと いくつ?」 と問われます。
【 ひき算の能力 】
検査者は、「100 から順に 7 を引く ( 5 回まで )」 ということを知っている。
ところが、被検者 (回答者・解答者) は、前もって 5 回も ひき算 させられることを知らない。
これでは、検査の仕方に慣れていない初回では、5点満点とりにくい。
なぜなら、このような設問は小学校・中学校では ほとんどなく、
生まれて初めて経験するものだから。
小学校の低学年では、1回だけの計算で 暗算し答えをだすことを
計算ドリルなどで反復練習させられてきたわけで、
1つの暗算をしてその答えを記憶して、それを次の暗算に使うということは、
ほとんど経験していないでしょう。
( ただし、高学年になると、計算スピードを上げるために暗算と記憶をうまく行う生徒はいますが、
一方で
筆算 や 途中の計算式を書くの を面倒がって
暗算し記憶しそして暗算を行うが、十分にできず 誤答・計算ミスする生徒も相当数います。)
また、計算ミスで誤答すれば中止ですから、5点満点とりにくいです。
だから、
初めてこの設問 4 で 5点満点とれる人は、
100-7=93, 93-7=86, 86-7=79, 79-7=72, 72-7=65 を全部覚えている人か、
(100-7 を) 暗算し 正解 (93) を検査者に答え その答えを記憶し、
それ から 7 をひく暗算をし 正解 を検査者に答え その答えを記憶し、
それ から 7 をひく暗算をし 正解 を検査者に答え その答えを記憶し、
それ から 7 をひく暗算をし 正解 を検査者に答え その答えを記憶し、
それ から 7 をひく暗算をし 正解 を検査者に答えることが 初めてでも できる人でしょう。
しかし、
検査2回目以降
ひき算ができる人であれば、
暗算し その答えを記憶してさらに暗算することに慣れれば5点満点とれるようになるでしょう。
( 経験効果により )
Aさん ( 中3生Aさん : ブログ 「他者から学ぶ第1・2・3号」 ) は、ひき算が苦手でした。
‘ Aさん、10000-6 は 何になりますか。 ’
「 10000-6 そんなんやったことないで。 」
‘ 1000-6 は 何になりますか。 ’
「 そんなんやっ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 。」
‘ 100-6 は 何になりますか。 ’
「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 。」
‘ 10-6 は 何になりますか。 ’
「 4 やで。 」
‘ それでは 100-6 できませんか。 ’
「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 。」
‘ Aさん、10-6 はできるから、 100 から 10 借りてきて 10-6 を計算して、残りの90 とで できませんか。 ’
「 ・ ・ ・ そんな借りるなんてやったことないんちゃうん ・ ・ ・ ・ 。」 と友達のBさんを見る。
『 Aさん、小学校のときに やってるよ。』 とBさん。
ムッカァーとした顔で、Bさん を にらむAさん。
‘ Aさん、100 から 10 借りたら、残りはいくつ。’ 「 90~う?」
‘ 10 から 6 ひいたら。’ 「 4 ん !」
‘ 残った90 と 4 で。’ 「 94 ん?」
Aさんは、このままでは、M M S E の設問 4 で 5点 とれないでしょう。
ひき算の能力は、できれば小学生のときに身につけておきたいものです。
図形の角度を求める問題は、360 や 180 や 90 を使う たし算・ひき算が多いです。
計算ミスで誤答しないためにも、暗算・筆算・検算をバランスよく実行してください。
よく目にする間違い ・ ミスは、
求めた内角の角度で検算すると、三角形の内角の和が 190°や 170°になるというものです。
例えば、
三角形において2つ内角が 38°と 59°のとき、3つ目の内角を暗算して 93°や 73°とミスしてしまう。
【 形 (図形) を判断する能力 】
実は、
私の母は、77 歳のとき、脳梗塞後 回復期リハビリのため入院した病院で、
この M M S E を 初めて受けて18点 でした。
( 認知症などの認知障害がある可能性が高い ) と判定されるようですが。
ちょうど設問 11 に取り組んでいる母の姿を、たまたま見る機会がありました。
母は、動く右手で鉛筆をもち、「 ひとふでがき 」で写そうと試んでいるようでしたが、
設問 11 が、どのような図形なのか判断せず、あるいは判断できず、写せませんでした。
特殊な写実能力・複写能力でもないかぎり、
どのような図形なのか判断せずに、写すことは一般的に不可能でしょう。
では、なぜ私の母は 判断できなかったのか。
検査の数日後、母との会話
‘ 図形をかくことできなかったね。’
「 目も見にくいし、右手だけで紙が動いて かきにくいし。」
‘ あれどのような形かわかった。’
「 わからなかった。」
‘ じゃあ、三角形はどのような形かわかる。’
「 三角はこのような 」 と言って、
{ 動かすことができる右手 } の人差指を使い
「 ひとふでがき 」 で 角(かど) が 3つ ある概形 (およそのかたち) を空中に描くのです。
‘ 四角形はどのような形かわかる。’
「 四角、四角は 」 と言って、
同様に
「 ひとふでがき 」 で 角(かど) が 4つ ある概形 を空中に描くのです。
‘ 五角形はどのような形かわかる。’
「 わからない。」
‘ じゃあ、三角形はどのような特徴を持っているか言ってみて。’
「 ん~ わからない。もうーやめて、そんなことどうでもいいわ。」
○ 「 三角形はどのような形 」 と聞くと。
私の母と同じように、
人差指を使い「 ひとふでがき 」で 角(かど) が 3つ ある概形 を
空中に描く生徒が結構います。
「三角形」 をどのように理解しているのでしょうか ?
「 四角形はどのような形 」 と聞くと。
人差指を使い「 ひとふでがき 」で 角(かど) が 4つ ある概形 を
空中に描く生徒も結構います。
どうして、このようにしか答えられないのでしょうか ?
そして、このような生徒たちは、
「五角形をかいてみて」 と言うと、かけないか、「六角形」を「 ひとふでがき 」でかきます。
なぜ「五角形」をかけないのでしょうか ?
中には、「三角形はどのような形」 「二等辺三角形は」 「正三角形は」 と
つぎつぎに聞くと、3つともほぼ同じ 概形 を 人差指を使い 「 ひとふでがき 」で 空中に描く生徒がいます。
次回の ⑪ 『 多角形 』 に続きます。