『 解の公式は導くもの 4 』
○ ( 補講 『 解の公式は導くもの 3 』 の宿題 )とその解答
ax²+2b'x+c=0 ( a≠0 ) のとき、
x = { -b'±√(b'²-ac) } / a になります。
この x の係数が2の倍数のときの解の公式を導きなさい。(ただし、途中の等式は6つで)
(解答)
ax²+2b'x+c = 0 ( a≠0 )
x と結びつきの弱い c を移項する
⇔ ax²+2b'x =-c
2次の係数を 1 にしたいので、両辺を a でわる
⇔ x²+(2b'/a)x =-c/a
1番のポイント( x の係数の半分の2乗を両辺にたす )
⇔ x²+(2b'/a)x+(b'/a)² =-c/a+(b'/a)²
乗法公式 a²±2ab+b²=(a±b)² で 因数分解
⇔ (x+b'/a)² = (b'²-ac)/a²
平方根を求める
⇔ x+b'/a =±√(b'²-ac)/a
⇔ x =-b'/a±√(b'²-ac)/a
⇔ x = { -b'±√(b'²-ac) } / a
○ { 覚えては忘れるのくり返し } では辛い高校数学
中3数学で
ax²+bx+c=0 ( a≠0 ) のとき、
x = { -b±√(b²-4ac) } / 2a
を覚えて
高1数学で
ax²+2b'x+c=0 ( a≠0 ) のとき、
x = { -b'±√(b'²-ac) } / a
を覚えて
y=ax²+bx+c ( a≠0 ) のとき、
y=a ( x+b/2a )²-(b²-4ac)/4a
も覚えて ( これを覚える人は、完全平方式をつくるポイントを把握していない人が多い )
あ~あ 高校数学は中学数学に比べて
圧倒的に覚えることが多いよ!
高2数学で、加法定理
sin (α+β) = sinαcosβ + cosαsinβ (咲いたコスモス コスモス咲いた)
sin (α-β) = sinαcosβ - cosαsinβ
cos (α+β) = cosαcosβ - sinαsinβ (コスモスコスモス 咲いた咲いた)
cos (α-β) = cosαcosβ + sinαsinβ
を覚えて
(単位円、三角形の合同、三平方の定理などを利用して導けます。)
sin 2α = 2 sinαcosα
cos 2α = cos²α- sin²α= 1- 2 sin²α= 2 cos²α- 1
を覚えて
(この三角関数の2倍角の公式は、加法定理から簡単に導けます。)
sin 3α = 3 sinα- 4 sin³α (サンシャイン ひいて夜風が身に染みる)
cos 3α = 4 cos³α- 3 cosα (よこすり マミ子)
を覚えて
(この三角関数の3倍角の公式は、加法定理と2倍角から導けます。)
sinαcosβ = { sin (α+β) + sin (α-β) } / 2
cosαsinβ = { sin (α+β) - sin (α-β) } / 2
cosαcosβ = { cos (α+β) + cos (α-β) } / 2
sinαsinβ =-{ cos (α+β) - cos (α-β) } / 2
も覚えて
(この三角関数の積和の公式は、加法定理から簡単に導けます。)
sin A+sin B = 2 sin { ( A+B ) / 2 } cos { ( A-B ) / 2 }
sin A-sin B = 2 cos { ( A+B ) / 2 } sin { ( A-B ) / 2 }
cos A+cos B = 2 cos { ( A+B ) / 2 } cos { ( A-B ) / 2 }
cos A-cos B =-2 sin { ( A+B ) / 2 } sin { ( A-B ) / 2 }
も覚えて
(この三角関数の和積の公式は、積和の公式から導けます。)
公式を覚えて、その公式に代入して計算することが、
数学を勉強することと 同値 であると思ってしまうと、
高校数学の中で、公式の数が一番多い三角関数は、学習困難な単元になります。
そのほかの数列、指数・対数関数など公式が比較的多い単元も学習困難になるでしょう。
学習困難を回避するためにも
公式を導きその意味を考える習慣を、遅くとも 解の公式 を導くことから身につけ、
それにもとづき判断して公式を使いましょう。
高校数学は中学数学に比べてとても公式が多いです。
そのため
やがて公式を覚えられなくなる・覚える気がなくなる。
定期テストのたびに覚えても、テストが終了すると
せっかく覚えたことも忘れてしまう。
そんなことを繰り返しているうちに、高校生の中には、
数学が大学受験に通用しない教科になる生徒もいます。
私が現役の高校生のとき、
多くの同級生の数学は、公式を覚えて定期テストで高得点をとっても
受験教科として国公立大や有名私立大学に通用するものではなかった。
定期テストは、テスト範囲が狭く、覚えるべき 問題と答え がほぼそのまま存在しますが、
入試というものは、テスト範囲がとても広く、
覚えるために存在するのは、過去問題と予想問題で、入試問題そのものではありません。
よって定期テストよりも覚えることは、質と量ともに多くなります。
そして過去問題と予想問題を覚えても、
実際の入試問題は、まったく別の単元・別の問題である場合があります。
出題の傾向が変わる場合があるのです。
入試当日、{覚えたことがまったく役に立たない}と感じてしまう経験をすることになるかもしれません。
入試というものは、選抜試験ですから、募集定員を超える受験者を不合格にするために行われます。
高校の定期テストは、評定や単位認定のために行われ、ふつう選抜するためには行われません。
(中学の定期テストは、評価のために行われ、
その評価は内申点になり、高校入試の合否判定に使われるため、序列化を生む選抜テストの側面をもちます。)
国公立大学や有名私立大学に合格しようとするなら、その入試の特徴を考慮し、
数学は機械的に公式を覚えて代入して計算するのでなく、
公式を導きその意味を考える習慣を身につけるほうがいいのです。
○ ( 補講 『 解の公式は導くもの 4 』 の宿題 )
次の x の方程式 ax²+bx+c=0 を解きなさい。
解答は、補講 『 解の公式は導くもの 5 』に掲載します。