平方根のある問題から学ぶこと 8 | 学力の創造と向上 高校・大学受験は通過点

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学力の創造と向上において
何が必要か・何が障害になるのか
などについて考えます
  さらに、必要なものをいろいろ提供してゆきます 

        『 平方根のある問題から学ぶこと 8 』

◎ ( 平方根のある問題から学ぶこと 7 の宿題 ) と その模範解答 
次のように
「 A ならば B である。」型を 「 A は B である。」型に書き換えました。
( 書き換えた文 )の  逆、 裏、 対偶 を述べて、それらの正誤を判断しなさい。

  「 勉強すれば、テストで良い点がとれる。」
⇔ 「 
勉強する ならば テストで良い点がとれる。
⇔ 「 勉強すること は テストで良い点がとれること である。
⇔ 「 勉強する者 は テストで良い点がとれる者 である。」  ( 書き換えた文 )

いままで言葉・言語の意味だけで正誤を判断してきましたが、
「テストで良い点がとれること」 と 「
勉強すること」 との 関係 を考えるには、
言葉の意味だけでなく、言葉が示す
事実も必要です。

「テストで良い点がとれる」という言葉の意味 と勉強する」という言葉の意味 から
どちらか一方が他方に含まれるという関係を把握することは、簡単にはできません。
言葉の意味だけでなく、言葉が示す事実から包含関係を把握しなければなりません。
つまり 
包含関係をつかむために、
経験に基づいて 言葉が示す事実認識しなければなりません。
そして言葉の意味と認識した事実から、含まれる関係なのか含まれない関係なのか判別します。
 特に、
反例は、事実で示すことになるでしょう。

しかし、すべての人がうまく経験に基づいて事実認識できるわけではありません。
人は、ある経験をしていても、
経験した事を表現するのに必要な言語が使用できないと 経験そのものの存在はあやうくなり、
事実認識できないことがあります。
また、人によっては、あることが言葉で語られるやいなや、
事実認識もしていないのに
語られた内容が事実かどうか判断せず、
それを事実であると 思いこむもの もいます。

以下の解答は、私の経験に基づいた事実によります。

( 模範解答 )

   「 テストで良い点がとれる者 は 勉強する者 である。

 テストで良い点がとれるとは、テストの問題を解いて多くの正解を得ることです。

 テストの問題
を解いて多くの正解を得るには、問題を解くのに必要な知識を使用します。

 問題を解くのに必要な知識を使用するには、以前にその知識を最低1回使用した経験が必要。

 テスト前、少なくとも1回 その知識を使用する経験は、勉強においてなされるものです。

以上の事実関係を整理すると

    テストで良い点がとれる 
 ⇔  
テストの問題を解いて多くの正解を得る
 ⇒  問題を解くのに必要な知識を使用
 ⇒  その知識を テスト前 最低1回使用した経験
 ⇒  
勉強する

  テストで良い点がとれること は
 勉強することが必要であるから、
 勉強することは、テストで良い点がとれるための
必要条件。
 つまり、
テストで良い点がとれることは、勉強するための十分条件になります。
 よって、テストで良い点がとれることは、勉強することに含まれますから、
逆の 「 テストで良い点がとれる者 は 勉強する者 である。」 は正しい。


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 よく、「
 あの子、テストで良い点をとるけど、全然勉強していない。」という発言を耳にします。
 これは、逆の反例になるでしょうか。

 「そのテストに対して、そのとき
全然勉強していない。」ということが事実であるとします。

  それでも「
テストで良い点をとれる。」のは、
  そのテストに対応できる知識をすでに
使用したことがあるからです。
  テスト以前の過去に、勉強することにおいて知識を使用した経験が必ずあります。

  生まれてから
全然勉強していないなら、テストでの知識の使用は不可能です。
  一回も使用していない知識を、テストで初めて使用することはできません。
  一回も使用していない知識は、その人にとっては、
知識とさえ言えないし、存在もしない。

  私たちは、勉強することにおいて知識を使用しているのです。
  そして
 使用獲得した知識を使ってテスト時間内に、テストの問題を解き
  多くの正解を得ようとテストにのぞみます。

 「
あの子、テストで良い点をとるけど、全然勉強していない。」という発言は、
 事実
誤認によるもので、誤りです。反例にはなりません。

注意!私は、知識は 覚えてからテストで使用するもの という考え方をせずに、
    知識は 使用しているうちに獲得するもの ・覚えてしまっているもの であると考えています。
    そして知識の使用は、テストのときだけでなく、
    教科書・授業ノート・参考書を読む、辞書をひく、問題集を解くときもなされている行為であると。


 「
あの子、テストで良い点をとるけど、あまり勉強していない。」という発言は反例にはなりませんが正しい。
 その人の勉強の仕方によっては、
 新たな知識の使用ができるようになるまでに要する時間の長さは、長短異なります。

新しい知識とは、その多くが { 過去に使用獲得した知識 } をいくつか組み合わせたもの や
{ 過去に使用獲得した知識 } に { 新たに使用獲得すべき知識 } を加えたもの です。

このことに気づいた人なら誰でも

{ 新たに使用獲得すべき知識 } と 
{ 過去に使用獲得した知識 } との 結びつき に
重点を置いた学習ができるので
勉強時間は短くなります。

例えば

 中3の 2次方程式 
解の公式 の 導出過程を身につけるのに、その知識のほとんどが
 等式の性質・因数分解・平方根などの{ 
過去に使用獲得した知識 } であることに気づくか、 
 気づかないのとでは、習得にかかる時間に差がつきます。
 
 中2の 連立方程式の解法で、知識のほとんどは、
過去に使用獲得した知識 } 中1の 1次方程式であり、
 { 新たに使用獲得すべき知識 } は 加減法 と 代入法 だけです。

 すでに知っていることを、できるかぎり使う人は、
あまり勉強しなくてもよいでしょう。
 定期テストのたびに、テストで使った知識をほとんど忘れる人は、
 テストのたびに、めちゃくちゃ勉強して多くのことを覚えなければなりません。
 定期テスト終了後、知識量をゼロに近づけると、
 次のテストのために使用獲得すべき知識量は当然多くなります。

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( 模範解答 ) のつづき


   「 勉強しない者 は テストで良い点がとれない者 である。

対偶にあたる逆が正しいから、正しい。



対偶  
 「 テストで良い点がとれない者 は 勉強しない者 である。
 テストによく出るところ、よく出そうなところを中心に勉強しないと、
 勉強していてもテストで良い点はとれない。

 勉強は、テストに出ることを覚えることだ と思っていると、
  勉強しても覚えられないことが生まれ、覚えられないことが多いと
 テストで良い点はとれない。 

 勉強することにおいてテストに必要な知識を使用しないと、その知識はなかなか身につかない。
 (反例Cさんのように、テストで良い点はとれないが、勉強する者もいる
対偶は誤りです。


対偶が誤りだから、もとの
「 勉強する者 は テストで良い点がとれる者 である。」も誤りです。
 
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 Aさん(ブログの他者から学ぶ 第1・2・3号)は、テストで良い点をとれないが、
 教科書を読みもせず、ただ教科書を見るだけで覚えるということをしていました。
これは対偶の反例になるでしょうか。
 Aさん自身は、「同級生のみんなと同じように覚えてる」という信念をもっていましたが、
 これでは、丸覚えもほとんど出来ないので、その行為は勉強ではないでしょう。反例にはなりません。
 Aさんは、音読できないため 黙読ができない、あるいは、黙読しない。
 文字を
音なしで使おうと不可能なことをしていました。
 文字を音なしで使おうと不可能なことを試みるので、Aさんは、テストに必要な知識を全く使用できません。
 知識を全く使用できない ・ しない行為は、勉強する行為ではありません。
 Aさんの「勉強する」は、事実ではない。


 Cさん
(ブログの他者から学ぶ 第3号)は、テストで良い点をとれないが、
 教科書を読み、授業ノートを活用して覚えるという勉強をしていました。
これは対偶の反例になるでしょうか。
 Cさんは音読も黙読もできます。
 Cさん自身は「テストの問題を解くのに必要な知識を覚えられない」と思っていました。
 勉強はしていますが、
 勉強することにおいて知識使用が不足していたため、知識獲得の程度が高くなかったのでしょう。
 私の指示にもとづいて、
勉強することにおいて知識使用の頻度をあげると、
 100点に近い高得点をとり 5段階評価を「3」から「5」に上げました。(中2社会)

 
私の指示以前のCさんの状態は、反例です。

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  A と B の関係を捉えるために必要なのは、
    1. 「 A ならば B である。」「 A は B である。」という文全体の意味
    2. 
「 A ならば B である。」「 A は B である。」という文に含まれる 語句 の意味
  でした。
  要するに、
    文「 A ならば B である。」と「 A は B である。」の正誤判断は、
    言語の意味 に基づいてなされてきました。

そして もう1つ、A と B の関係を捉えるために
必要なものが言葉の示す事実です。
A は事実であるか、B は事実であるか、
A と B の関係は
事実かどうか 判断する必要があります。


◎ ( 平方根のある問題から学ぶこと 8 の宿題 )
( 書き換えた文 )の正誤を判断してください。


   公式を覚えたら、できる。

⇔ 公式を覚えたなら、問題を解くことができる。

⇔ 公式を覚えている ならば 
問題を解くことができる。

⇔ 
公式を覚えていること は 問題を解くことができること である。

⇔ 
公式を覚えている者 は (公式を使う) 問題を解くことができる者 である。  ( 書き換えた文 )

 次の3つを利用してもよい

  ( 書き換えた文 ) の逆
 (公式を使う) 問題を解くことができる者 は 公式を覚えている者 である。
  ( 書き換えた文 ) の裏
 公式を覚えていない者 は (公式を使う) 問題を解くことができない者 である。
  ( 書き換えた文 ) の対偶
 (公式を使う) 問題を解くことができない者 は 公式を覚えていない者 である。


解答は、補講『 平方根のある問題から学ぶこと 9 』に掲載します。