『 平方根のある問題から学ぶこと 6 』
○ ( 平方根のある問題から学ぶこと 5 の宿題 ) と その(解答)
次の( )に入る適切な語句を下から選んでください。
(1) ab=0 は a=0 かつ b=0 である ための( )。
(2) a²=b² は a=b である ための( )。
(3) a は √a² である ための( )。
(4) b=ac は b/a=c である ための( )。
(5) a と b が実数のとき、 a=b=0 は a²+b²=0 である ための( )。
① 必要条件ではあるが、十分条件ではない
② 必要条件ではないが、十分条件である
③ 必要条件であり、十分条件でもある
④ 必要条件でもないし、十分条件でもない
(解答)(1) ① (2) ① (3) ② (4) ① (5) ③
(1) ab=0 は a=0 かつ b=0 である ための( )。
ab=0 は a=0 または b=0 に 同値 だから、
a=0 または b=0 は a=0 かつ b=0 に含まれない。
[ 反例 : a≠0 あるいは b≠0 ]
よって、ab=0 は a=0 かつ b=0 に含まれない。
a=b=0 を ab に代入すると ab=0 ・0 =0 だから、
a=0 かつ b=0 は ab=0 に含まれる。
(2) a²=b² は a=b である ための( )。
a²=b²
⇔ a²-b² = 0
⇔ (a+b)(a-b)=0
⇔ a+b=0 または a-b=0
⇔ a=-b , a=b
よって、 a²=b² は a=b に含まれない。 [ 反例 : a=-b ]
a=b は a²=b² に含まれる。
(3) a は √a² である ための( )。
√a² = | a |
a<0 のとき | a |=-a
0≦a のとき | a |= a だから、
a は √a² に含まれる。
√a² は a に含まれない。 [ 反例 : a<0 のとき √a² = | a |=-a ]
(4) b=ac は b/a=c である ための( )。
b=ac の両辺を a で割りたいので、a について場合分け
ⅰ) a≠0 のとき b=ac の両辺を a で割って b/a=c
ⅱ) a=0 のとき b=ac の両辺を a で割れないので b=ac に a=0 を代入すると
b = 0 ・c = 0 となり、c は任意の値をとれる
つまり c は b/a 以外の値をとれる
b/a=c の両辺を a 倍すると、b=ac になる
以上より、 b=ac は b/a=c に含まれない 。[ 反例 : a=0 ]
b/a=c は b=ac に含まれる。
(5) a と b が実数のとき、 a=b=0 は a²+b²=0 である ための( )。
a=b=0 を a²+b² に代入すると、 a²+b²=0²+0²=0
a=b=0 は a²+b²=0 に含まれる。
正の実数 を2乗すると 正 になる。
負の実数 を2乗しても 正 になる。
0 の2乗は 0 になる。
よって、実数の2乗 は 0 以上 である。 (実数)² ≧ 0 ( これは、とても重要ですよ!)
a と b が実数のとき、 a²≧0 , b²≧0 であり a²+b²≧0 になるから
a²+b²=0 が成り立つのは、
a²=0 かつ b²=0
⇔ a=0 かつ b=0
すなわち a=b=0 のときである
a²+b²=0 は a=b=0 に含まれる。
☆ より厳密に十分条件・必要条件を捉える
「 A は B であるための ( )。」という文の( ) に、
{ 必要条件 ・ 十分条件 ・ 必要十分条件 ・ 必要条件でも十分条件でもない }うちから
適切なものを1つ選んで入れるためには、
「 A は B であるための ( )。」の
主語部分A と 補語部分にある B の関係を捉えることが大切です。
主語部分A が 補語部分にある B に含まれるとき、十分条件。
補語部分にある B が 主語部分A に含まれるとき、必要条件。
主語部分A が 補語部分にある B に含まれ、
かつ補語部分にある B が 主語部分A に含まれるとき、必要十分条件。
そして
{含まれる}、{含まれない}を決めるとき、その根拠を示すこと。
{含まれない}の根拠になる 反例 を見つけることが重要になります。
( 反例とは、A と B のどちらか一方を満たすが、他方を満たさないものです。)
特に、反例を見つけようとすることが、判別できるきっかけを与えてくれる場合が多いのです。
十分条件・必要条件の問題を、根拠にもとづいて解答することは、
記述入試問題の対策へつながります。
大学 ・ 高校入試の記述問題を解くということは、
数学の場合、{解答へのプロセス}を記述する、つまり、根拠そのものを記述すること、
英語の場合、根拠(文法・構文など) にもとづいて解答を記述することです。
そのため、普段から根拠を示しながら解く姿勢が合格するために必要です。
大学入試センター試験は、選択肢から選択して解答する客観テストですから、
根拠なく、なんとなくでも、たぶんでも 選択肢を選んで解答できます。
しかし、根拠なしに答えを選ぶと、高得点は望めません。
なんとなくじゃ 正答率は4割 (平均7割位で) にも届きません。
そして国公立大学2次試験の記述テストは
根拠がなければ、解答できず 解答用紙は ほとんど白紙になってしまいます。
☆ 逆 裏 対偶
「 p ならば q である。」・・・(1) という文は、p が q に含まれるとき、正しい。
「 q ならば p である。」・・・(2)
「 p でない ならば q でない。」・・・(3)
「 q でない ならば p でない。」・・・(4) は、
{q でないもの} が {p でないもの} に含まれるとき、正しい。
(1)を中心に関係づけると
(1)と(2)の関係は、逆
(1)と(3)の関係は、裏
(1)と(4)の関係は、対偶です。(だから、(2)と(3)の関係も対偶です。)
(例)
「 4 の倍数 ならば 2 の倍数 である。」・・・① という文は、正しいでしょうか。
4 の倍数 を 4m ( m は整数 ) とおくと、
4m = 2 (2m)
2 (2m) は、 2×(整数) で 2 の倍数 だから、
4 の倍数 は 2 の倍数 に含まれる。
よって、「 4 の倍数 ならば 2 の倍数 である。」という文は、正しい。
① の 逆 「 2 の倍数 ならば 4 の倍数 である。」・・・② は、正しいでしょうか。
2 は 2 の倍数であるが、 4 の倍数ではない。 ( 反例 : 2 )
2 の倍数 は 4 の倍数 に含まれない。
よって、②は誤り。
① の 裏 「 4 の倍数 でない ならば 2 の倍数 でない。」・・・③ は、正しいでしょうか。
2 は 4 の倍数でないが、 2 の倍数である。 ( 反例 : 2 )
( 4 の倍数でない数 ) は ( 2 の倍数でない数 ) に含まれない。
よって、③は誤り。
① の 対偶 「 2 の倍数 でない ならば 4 の倍数 でない。」・・・④ は、正しいでしょうか。
( 2 の倍数でない数 ) は 奇数 である。
奇数 は 4 の倍数 でない。
( 2 の倍数でない数 ) は、( 4 の倍数でない数 ) に含まれる。
よって、④は正しい。
1) 対偶 の関係にあるものの正誤は 一致 する。
2) 逆 は、必ずしも真ならず。 ( 逆 の関係にあるものの正誤は 必ずしも 一致しない。)
○ ( 平方根のある問題から学ぶこと 6 の宿題 )
次の各文の 逆、裏、対偶 を述べて、それらの正誤を判断しなさい。
(1) 「 xy が 奇数 ならば x , y はともに 奇数 である。」
(2) 「 xy が 偶数 ならば x , y はともに 偶数 である。」
(3) 「 ( 2 の倍数で かつ 3 の倍数 ) ならば 12 の倍数 である。」
解答は、補講『 平方根のある問題から学ぶこと 7 』に掲載します。