彼女達との別れ際に、モデル系の女性と携帯電話の番号を交わしながら、「よかったら連絡くれたら、また付き合うよ。」と言うと、「ええ、気が向いたらね。」と曖昧な返答を受ける。

年が明け、その彼女から新年の挨拶のショートメールが届いた。
若い男性しか興味がない、と言っていた彼女だから、あまり、その後の期待はしていなかったが、メールが来たことで少なからず見込みがあるのかな、と思った。

疎遠になっているとは言え、仮面妻とも、まだ別れた訳ではないので、あまり積極的にアプローチすることもなく幾日か過ぎたころ、モデル系の彼女から電話が入った。
「この前、ご一緒した時にまた、付き合ってくれると言われたから連絡しました。」
思いがけない彼女からの誘いだ。
「もちろんいいよ、と言うか是非、会いたいね。」とこちらも乗り気になって返事をする。
「明日でもいいですか? あの時の連れの友達はいなくて私だけになりますけど。」と言うので、僕にとっては、その方が好都合だ。
そして、翌日にあの目黒のライブパブで会うことになった。

当日、こちらは仕事の都合もあって少し遅めの時間に約束していたが、店内に入ると彼女は早く来て、すでに飲んでいる。
「あれ、もう来ていたの? 待たせたみたいね。」と気に掛けると、
「私、役所の仕事だから定刻通りに終業するので早めに来ちゃいましたわ。急なお誘いでごめんなさい、なんか気晴らしがしたくなって・・。」とはにかむように言う。


「いいや、こっちこそ、君みたいな美人のお誘いを受けて嬉しいよ。今夜はあの二人のお仲間は来られなかったのだね。」
「ええ、二人とも用事があって。この店で一人だとなんか居づらいから、貴方の言葉に甘えてしまいました。」
「そうなんだ、また、間に合わせで呼ばれたのかな?」と笑いながら応えたが悪い気はしない。
「間に合わせなんて、そんな失礼な気持ちじゃないです。この前、ご一緒した時に遊びなれていそうだけど、落ち着いた物腰柔らかな同世代の男の方もいいかなって思っていたのです。」と臆することなく率直に述べる。


「確か、前に会った時は、若い男性しか興味がなくて、ホストクラブに行った帰りだったのだね。」と勘繰るように言うと、
「ええ、実はこの前まで一回り以上年の離れた若いミュージシャンの男の子と付き合っていましたが、クリスマス前に別れました。」と何ら恥じることなく話す。
「ということは、僕の事をW不倫と揶揄していたが、君も不倫していたんだ。」と聞き直したが、そんなプライバシーを物怖じせずに、奔放に打ち明ける彼女に親近感を持ったのだ。

40代のモデル系は、来店した時はベージュのトレンチコートを羽織っていたが、そのコートを脱いだら、クリスマスシーズンらしく、煌びやかなスパンコールが胸元にあしらわれた白い起毛のオフショルダートップスに、美脚にフィットした淡いブルージーンズを穿いていて、すらりとしたシルエットが引き立って見える。
30代の女性はロングブーツに薄いピンクのミニニットワンピースを着ていて、彼女なりの可愛らしさを感じる。

モデル系が、「貴方、遊び慣れていそうだけど芸能関係のお仕事?」と聞いてきたので、
「そんな風によく見られるけど、芸能界に縁はないよ。なんだと思う?」とちょっと間を置くように問いかけると、
「う~ん、普通のサラリーマンじゃないわね、固い職業でも無いみたい。なんかソフトなイメージがするわ。」と勘ぐるような眼差しで見つめる。
「そう、あたりだよ、ITソフトウェアでサラリーマンでもないしね。」と返答する。
「でも印象がソフトという意味で言っただけだから、言葉の綾みたいなものね。で、サラリーマンでなければ経営者?」
どうやら、彼女は僕に興味を持ったようで、女性が関心を抱くということは、往々にして男性にとっては脈ありと思っても良いだろう。
「そうだよ、ITソフトと言っても、アミューズメントやコンシューマー向けじゃなく、企業向けの事業だから、地味な仕事なんだ。」
「へえ、社長さんだったんだ、でも、偉ぶった雰囲気はないわね。優しそうな感じだわ。」と頷く。
「そういう君達だって、専業主婦でもないんじゃないか?」と聞いてみると、
「私は、公務員なの、役所に勤めているわ。」と応え、可愛い系は医療事務で、年配女性は専業主婦だと教えてくれた。
「君こそ、芸能関係だと思ったよ、見た目は華やかなイメージで、モデルや女優でも全然、いけているよ。意外と真面目な職業だったんだ。」と感心すると、
「だから、そういう堅い仕事から解放された後は、ハメを外して遊びたいのよ。もちろん、主婦業からもね。」と笑いながら思ったままを口にする。

そんな、自己紹介ともいえる談笑のあとは、店内のクリスマスムードのなか、彼女達とカラオケディエットやディスコダンスで盛り上がり、深夜にも及んだ。

バンド演奏がチークタイムになると、モデル系の女性は、酔いもまわって、寄りかかるように僕に身体を預けてくる。
「家の方は大丈夫?」と耳元でさりげなく聞くと、
「私も定職があるし、夫もたまの夜遊びは公認ずみなの。」と応える。
「そうなんだ、もともと今夜はホストクラブで遊んでいることになっていたからか。」と納得する。

「当て外れの間に合わせになるのもあまりいい気分じゃないけど、こっちも彼女に逢えないつなぎで君達と飲むのも、まあ悪くはないか。」とその年配女性の言葉に相乗りする。
モデル系が、「私達、普段は年下の若い男性しか興味が無いけど、今夜はお互いに間に合わせとつなぎで何かの縁だから、飲み直して気分転換しましょう。」と僕と他の二人の女性に目をやりながらにこやかにグラスを空ける
このモデル系の女性とは、これが一夜の縁ではなく、彼女との新たな不倫関係のはじまりで、そして仮面妻との別れになるとは、この時は思ってもいなかった。

「貴方は若くはないから、たぶん独身じゃないよね?」と年配女性が聞いたので、
「既婚だよ。」と応えると、モデル系が「じゃあ、会えない彼女はどっち?」と興味深そうな目つきで聞いてくる。
「う~ん、既婚だよ。」とおもむろに言うと、「やっぱりW不倫なのね。思うように逢えないつれなさそうな貴方の感じで分かるわ。」と見透かしたように笑みを浮かべる。
「そう言う君等はどうなんだ、ここで開放感に浸っている様子が主婦っぽいようだけど。」と言い返すと、
「ええ、三人とも既婚よ。子供もいるわ。」と悪びれる様子でもなく応える。
「それでホストクラブか、危ない人妻の集まりなんだ。」と皮肉っぽく言うと、
「主婦だって息抜きが必要なの、たまにはハメを外してもいいじゃない。」と年配女性が言い切る。
可愛い系の女性が、「私達、遊び仲間で、時々、クラブにも行っているのよ。ナンパされるときもあるわ。」とはしゃいでいる。

このブログに前述しているが、以前、子供のPTAつながりのママ友グループと既婚者合コンをして、その中の一人の女性と不倫関係になっていたことがある。
それと似たような感触だが、このグループの遊び慣れたテンションはたかそうだ。

年配女性が、「貴方、何歳ぐらいなの?」と聞いてきたので、かってコミュニティサイトで登録していた時のことを思い浮かべ、さばを読んで40代半ばと応えると、モデル系が「あら、私と同じぐらいだわ。」とうなずく。
この女性は、当初は30代に思えたが、そのスタイリッシュな美貌からして10才は若く見える。
「そうすると、それぞれ30代、40代、50代ってところか、年齢的な横つながりじゃないんだ。」と興味本位で言うと、
年配女性が、「私が50代なんて見られるのもいい気分じゃないわね、でも、事実だから仕方がないわ。」と不機嫌そうだ。
「いや、50代でもファッショナブルなイメージがあるよ。」と、取り繕うように言い直したが、この女性のコスチュームは、年下の二人の女性に合わせているのか、張り合っているのか分からないが、肌を露出したドレスアップには、ちと無理がある。