40代のモデル系は、来店した時はベージュのトレンチコートを羽織っていたが、そのコートを脱いだら、クリスマスシーズンらしく、煌びやかなスパンコールが胸元にあしらわれた白い起毛のオフショルダートップスに、美脚にフィットした淡いブルージーンズを穿いていて、すらりとしたシルエットが引き立って見える。
30代の女性はロングブーツに薄いピンクのミニニットワンピースを着ていて、彼女なりの可愛らしさを感じる。
モデル系が、「貴方、遊び慣れていそうだけど芸能関係のお仕事?」と聞いてきたので、
「そんな風によく見られるけど、芸能界に縁はないよ。なんだと思う?」とちょっと間を置くように問いかけると、
「う~ん、普通のサラリーマンじゃないわね、固い職業でも無いみたい。なんかソフトなイメージがするわ。」と勘ぐるような眼差しで見つめる。
「そう、あたりだよ、ITソフトウェアでサラリーマンでもないしね。」と返答する。
「でも印象がソフトという意味で言っただけだから、言葉の綾みたいなものね。で、サラリーマンでなければ経営者?」
どうやら、彼女は僕に興味を持ったようで、女性が関心を抱くということは、往々にして男性にとっては脈ありと思っても良いだろう。
「そうだよ、ITソフトと言っても、アミューズメントやコンシューマー向けじゃなく、企業向けの事業だから、地味な仕事なんだ。」
「へえ、社長さんだったんだ、でも、偉ぶった雰囲気はないわね。優しそうな感じだわ。」と頷く。
「そういう君達だって、専業主婦でもないんじゃないか?」と聞いてみると、
「私は、公務員なの、役所に勤めているわ。」と応え、可愛い系は医療事務で、年配女性は専業主婦だと教えてくれた。
「君こそ、芸能関係だと思ったよ、見た目は華やかなイメージで、モデルや女優でも全然、いけているよ。意外と真面目な職業だったんだ。」と感心すると、
「だから、そういう堅い仕事から解放された後は、ハメを外して遊びたいのよ。もちろん、主婦業からもね。」と笑いながら思ったままを口にする。
そんな、自己紹介ともいえる談笑のあとは、店内のクリスマスムードのなか、彼女達とカラオケディエットやディスコダンスで盛り上がり、深夜にも及んだ。
バンド演奏がチークタイムになると、モデル系の女性は、酔いもまわって、寄りかかるように僕に身体を預けてくる。
「家の方は大丈夫?」と耳元でさりげなく聞くと、
「私も定職があるし、夫もたまの夜遊びは公認ずみなの。」と応える。
「そうなんだ、もともと今夜はホストクラブで遊んでいることになっていたからか。」と納得する。