「ハードエイト」~優しさとは何か。 | ネコ人間のつぶやき

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 ポール・トーマス・アンダーソン監督のデビュー作「ハードエイト」(1996年)をご紹介します。

 

"10.5.12 - "Hard Eight"" Photo by Movies in LA

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 ラスベガスのカジノでスッて文無しになったジョン(ジョン・C・ライリー)がダイナーの外で無気力に座り込んでいました。

 

 そこへ老ギャンブラーのシドニー(フィリップ・ベイカー・ホール)が現れて、ジョンにコーヒーを奢ってくれたばかりでなく、なぜか救いの手を差し伸べるのです。

 

 最初不審がるジョンでしたが、シドニーが本当に見返りなく助けようとしていると分かり、彼を信頼することに。

 

 2年後。


 シドニーからギャンブラーとして生きる術を教えられたジョンは今や一流ギャンブラーとなっていました。

 

 ジョンはネバダ州リノでシドニーとバッタリ。恩人との再会に喜ぶジョン。

 

 しかし、ジョンの知人ジミー(サミュエル・L・ジャクソン)は、シドニーの知られざる過去を知っていたのです。


 ジョンも恋人のクレメンタイン(グウィネス・パルトロー)もどうしようもないド阿呆(ジミーもね)で、トラブル発生。

 

 シドニーが処理してジョンとクレメンタインを助けて逃がすんです。

 

 後は任せろ、必ず助けてやるから心配するなって。

 

 なぜシドニーがここまでジョンに親切になのか、が物語の鍵なんです。


 それがチンピラのジミー登場で明らかになるんですが、観ているとその前から大体予想はつくんです。

 

 でも、魅入りました。

 

 意外とさらっと(ちょっと呆気なく)終わるんですが、ここも合う合わないがハッキリ分かれるところでしょう。

 

 僕は前者でした。


 デビュー作からしてポール・トーマス・アンダーソン節炸裂ですね。

 

 僕は監督の代表作「マグノリア」が合わなかったんで、「ハードエイト」どうかな~と思っていたんですが、こちらはよかった。

 

 こねくりまわし過ぎていないのが逆によかったな。

 

 シドニーとジョンの擬似的な父息子関係を観ていて、優しさとは贖罪なんだな、と思いました。

 

 もちろん、贖罪じゃなくて純粋に優しいのが1番なんですけどね。生きてりゃ色々ありますよ。


 ジョン・C・ライリーは気弱なダメ男演じさせたらピカイチですね。

 

 グウィネス・パルトローは珍しく堕ちた駄目女を熱演していたし、サミュエル・L・ジャクソンの胡散臭い小悪党ぶりも流石です。

 

 この駄目な3人にイラつきましたが、そのぶん、フィリップ・ベイカー・ホール演じるシドニーのまともさと渋さが際立っています。