「隠し砦の三悪人」~人間万事塞翁が馬、かな。 | ネコ人間のつぶやき

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 黒澤明監督脚本の「隠し砦の三悪人」(1958年)をご紹介します。

 

"The Hidden Fortress (1958)" Photo by japanesefilmarchive

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 百姓の太平(千秋実)と又七(藤原釜足)は、立身出世を夢見て山名家と秋月家の戦に参戦。


 しかし秋月家が敗れて命からがら逃走。

 

 2人は山名軍に捕らえられて、秋月家の埋蔵金を探すため強制労働させられます。

 

 脱走した2人は、山中で薪に隠した金の棒を見つけて大はしゃぎしますが、謎の男が現れます。

 

 明らかに只者じゃないその男~真壁六郎太(三船敏郎)は、実は秋月家の大将。

 

 六郎太は秋月家の跡取り・さいごの希望である雪姫(上原美佐)を守りながら秋月の領土に帰還するチャンスをうかがっていたんです。

 

 六郎太が秋月家再興の資金を薪に隠したものの、あまりに重たい金塊をどう運ぼうか?と思案してたところに欲深な百姓コンビが現れた。


 六郎太としては2人を利用して姫を連れて秋月家の領地へ帰還しよう、と決意。

 

 こうして腹を探り合う一行の逃避行が始まるんです。

 

 初期の黒澤明らしいテンポの良さ、一難去ってまた一難、頭脳戦が楽しい。

 

 そして「人間万事塞翁が馬だよ」ということです。

 

 何が良いかなんて後にならなきゃ分かりません。

 

 しかし、もう駄目かという場面で姫が言った台詞は真実でしょう。

 

 「人の情けを生かすも殺すも己の器次第じゃ」。

 

 続けて雪姫は 詫びる六郎太に 「この数日間楽しかったぞ」と礼を言うんです。

 

 城の中じゃ経験出来ないことだった、飾らぬ人の世、人の美しさと醜さを見られた。これで悔いが無い、と。

 

 ああ、雪姫は人の上に立つにふさわしい器の持ち主なんだ、と分かります。まさにレイア姫。


 「スター・ウォーズ Episode4新たなる希望」が本作のプロットをなぞっているのが分かりますね。

 

 黒澤映画をリスペクトするジョージ・ルーカスが本作からインスパイアされて「スター・ウォーズ Episode4新たなる希望」を作ったという話は有名です。

 

 C3POとR2D2の凸凹ロボットコンビは百姓コンビだよ、という話はネットも無い昔になぜか知りましたが、本作を観ると雪姫はレイア姫だし、六三郎はオビワンかな。

 

 とにかく「隠し砦の三悪人」はキャラが魅力的なエンタメ時代劇の傑作です。