推理ものと言えば、天才的推理を発揮する者(孤独、風変わりで独自の生き方をしている)+そのよき理解者(常識人で大らか)というコンビが定番です。
シャーロック・ホームズとワトソン、ポワロとヘイスティングス、 キャッスルとベケット刑事…みんなそうですよね。
凸凹コンビの活躍と絆が痛快で感動するんですよね。バディものなんですよ。
エドガー・アラン・ポーの世界初の推理小説「モルグ街の殺人」(1841年)で天才デュパンと語り手の「私」というバディものの王道的定番なコンビ像が既に完成されていたことが驚きです。
今僕がはまっているミステリーは「アストリッドとラファエル 文書係の事件録」 。
吹き替え版のシーズン3が現在NHKで放送されています。
ラファエルはパリ警視庁の警視。ちょっと向こう見ずな性格で、捜査に熱心なあまり時にルール違反を。
それゆえ上司からクギを刺されがちですが、人望が厚く頼りになる女性です。
アストリッドは高機能自閉症の女性。犯罪資料局の文書係です。
アストリッドは記憶力、洞察力、パズル(謎解き)に天才的な能力があるんです。
ある事件でそれを見抜いたラファエルがアストリッドに捜査協力を頼むようになり、以降2人で難事件を解いていく。
ファーストシーズンの最終回で後見人が亡くなって独りで生きていくことを決意したアストリッドは、シーズン3で捜査官を目指して警察学校に入ります。
学生時代のいじめにあった記憶が今現在のことのように想起されて苦しむアリステッド。
でも、ラファエルやよき出会いによる支えを得て事件捜査と平行して学業、日本人男性とのロマンスに戸惑いながらも挑戦中です。
「アストリッドとラファエル 文書係の事件録」も、ミステリーものの定番な組み合わせのバディものです。
「SHERLOCK/シャーロック」では、シャーロック・ホームズが人の感情が読めないアウトサイダーとして描かれています。
「アストリッドとラファエル 文書係の事件録」ではさらに踏み込んで、アストリッドを高機能自閉症者に設定しているのが新しいですね。
作り手はテンプル・グランディンさん(農場設計に才能を発揮して成功した高機能自閉症者)の著書を参照したり、多くの自閉症者から助言を得ているそう。
(自閉症の世界への理解は、高機能自閉症の方の手記を読むのが大きな手がかりになります)
感覚の過敏性や、曖昧な表現が情報過多になって理解出来ない等、アストリッドの苦しみが描写がされています。
アストリッドを通じて高機能自閉症の世界を描こうとする努力が観られ、自閉症の生きづらさをこのドラマに反映させていますね。
その描写はドラマであることを差し引いても意欲的に感じました。
アストリッドのよき理解者ラファエルは、すごく母性的な女性だと思います。
アストリッドもラファエルの第一印象を「彼女は他と違う」と直感してました。
2人の絆が事件捜査と私生活で描かれているんですが、とても佳いのです。