今回は「イン・ハー・シューズ」(2005年)をご紹介します。
"in her shoes" Photo by mandyseyfang
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マギー(キャメロン・ディアス)とローズ(トニ・コレット)は対照的な姉妹。
姉のローズは弁護士で成功していますが、私生活では自分の容姿にコンプレックスがあり、たくさん持っている高級な靴も履けない女性です。
一方、妹のマギーは容姿端麗な女性ですが、何をしても続かない。
ローズのアパートに居候している際にマギーはローズのボーイフレンドを寝取ってしまい、大ゲンカ。
行くところを失ったマギーは絶縁状態にあった祖母のエレン(シャーリー・マクレーン)の住む老人施設に行きます。
で、祖母に言われて始めた介護ヘルパーの仕事で出会った目の不自由な元大学教授から「詩を読んでほしい」と頼まれるんですね。
でもマギーは難読症(学習障害の一種)なので一旦は断るのですが、元教授に熱心に頼まれて読み聞かせをするわけです。
で、マギーの人生が動き出すんですね。
一方、ローズは社会的には成功しており、はた目にはアイデンティティが確立された女性に見えますが、内実は違っていたんですね。
私生活での彼女はどこかしっくりきていない不全感の塊なわけです。
姉が履けない靴をマギーがちゃっかり履きこなすシーンがあります。
でもそれは本来の自分の靴ではないわけですね。
姉は姉で自分が買った靴を履けない。
靴に「自分らしさ」を象徴させているわけです。
マギーはアイデンティティがまだはっきりしない女性なんですね。
しっくりこない人生は、言ってみればサイズが合わない靴を無理して履いている状態に似ています。
違和感や時には靴擦れしたりすることもある。
他人の靴がぴったりでも、自分らしさではない。
自分でしっくりくる靴=生き方を探すしかないわけですね。
マギーとローズが自分らしさをいかにして発見するか、が靴に喩えられていてとても良かったですね。
「おしゃれは足もとから」と言います。「足は第二の心臓」とも。
しっくりくる生き方を見つけるまでは、マギーのように「私とは何?」と彷徨う苦しさも経験するのですね。
結局、誰かのお仕着せじゃない、自分で探し求めたものが正解なんだと思います。
この映画、マギーの心理的危機を通じてバラバラになっていた家族がどうなるか?という視点で観ても良いですね。
コミカルなシーンが楽しい素敵な家族映画でもありました。
(※2014年11月24日の過去記事をリライトしました)