「パリの恋人」 ~'S Wonderful! | ネコ人間のつぶやき

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 6月12日は恋人の日です。「パリの恋人」  (1957年)はオードリー・ヘップバーンの映画史上最もファッショナブルなミュージカルです。

 

"18- audrey hepburn" Photo by fred baby

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 カメラマンのディック(フレッド・アステア)は、見た目ばかりで中身のないモデル・マリオン(ドヴィマ)の撮影に辟易としています。

 

 ディックがファッション誌「クオリティ」の新しい顔を探していたところ、書店でのロケで偶然出会ったジョー(オードリー・ヘップバーン)に可能性を見出します。

 

 店員のジョーは見た目こそ地味ですが、彼女は知的なんですね。

 

 ディックは「ジョーはファニー・フェイス(個性的で魅力のある顔)だ」と評価するのです。

 

 そしてディックは「知性と美は女性を磨く」と「クオリティ」誌編集長のマギー(ケイ・トンプソン)を説得。

 

"Dovima and Audrey, still from 'Funny Face' 1957" Photo by Kristine

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 でも「モデルなんか興味ない」と嫌がるジョー。

 

 ディックは、ジョーが傾倒する哲学者フロストルのいるパリに行けるから、と口説き落とします。

 

 こうしてディック、ジョー、マギーはパリへ。

 

 ジョーは美の都パリで華やかに生まれ変わるんですね。

 

  パリの名所でジョーの写真を撮るディック。

 

"Audrey Hepburn - Funny Face 1957" Photo by oneredsf1

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 ジョーは初めてのパリが楽しくて仕方ない。

 

 肝心のショーそっちのけでカフェをまわってフロストル教授を探すジョー。

 

 そんなジョーをディックはたしなめ、ジョーは反発します。

 

 こう書くとジョーはなかなか面倒な女性ですが、オードリーが演じると嫌な感じがしないんですね。

 

 それはきっとオードリーの人徳がなせる技でしょう。

 

"Relaxing during a break in the shooting of the Paramount musical 'Funny Face'." Photo by Kristine

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 ディックはフロストル教授がナンパ師だと見抜きますが、フロストルに嫉妬しているのも事実。だからジョーと痴話げんか。

 

 アステアが物腰柔らかい紳士ですから、ディックの嫉妬心もなんだか可愛らしく見えます。

 

 ショーの当日、舞台裏で口喧嘩する2人はショーを台無しにしてしまい、ジョーは会場から姿を消してしまう。

 

 その後も2人は惹かれ合いながらもすれ違う。

 

 共感とは相手の身になって想像すること。それは相手を理解することでもある。

 

 共感と恋は切っても切れない関係。

 

 共感のない恋なんざクリープを入れないコーヒーってなものです。

 

 だから好きな相手に共感すれば居場所も分かるはず!…というお話です。

 

"From 'Funny Face' 1957" Photo by Kristine

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 「ローマの休日」、「麗しのサブリナ」に主演して爆発的な人気を博したオードリーが3作目の主演作に選んだのが「パリの恋人」。

 

 冒頭からカラフルでオシャレです。50'sの活気あふれる世界なんですよ。

 

 ケイ・トンプソンが歌う「Think Pink」は、ファッション界の大御所マギーの「今年の色はピンク!」という鶴の一声な思いつきで、今年の流行がピンク色に決まって庶民が「今年のトレンドよ!」と追っかける、という風刺です。

 

 そして当時の一流モデルのドヴィマが外見は美しいけど知性に欠けるモデルを自虐的に演じているのもすごい。

 

 ちょっとファッション業界を皮肉りながらも、ユーモアと共にエンタメに昇華しているので嫌みがなくて良いですね。

 

"3- audrey hepburn" Photo by fred baby

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 オードリーの歌は特別上手くはないかもしれませんが、ダンスに注目!

 

 オードリーは、アステアのダンスと釣り合うように、とダンスの特訓をして撮影に臨んだそうです。

 

 オードリーは元々バレエダンサー志望でしたから、ダンスの素養や身体のしなやかさがありますね。

 

 2人のダンスが観る者を華やかな夢の世界へ誘ってくれます。

 

"19- audrey hepburn" Photo by fred baby

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 マイケル・ジャクソンも憧れたフレッド・アステアの歌とダンスの素晴らしさは本作でも健在。

 

 ステンカラーコートと雨傘で闘牛士ダンスをしてみせるなど、小道具を駆使したアステアらしい楽しくて華やかなダンスを堪能。 

 

 あと、アステアはめちゃめちゃオシャレです。

 

 そしてケイ・トンプソンの歌とダンスは至極のエンターテイメント。

 

"Publicity still with Fred Astaire from 'Funny Face' 1957" Photo by Kristine

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 前作「麗しのサブリナ」(1954年)で出逢ったジパンシイの衣装を身にまとって美しくポーズを決めるオードリー。

 

 パリの美しい名所が楽しくて旅をしているかのようです。

 

 パリで変身するヒロインのシンデレラ物語はオードリーの真骨頂。

 

 そして、当時のハリウッドのパリへの憧れでもあります。

 

 「麗しのサブリナ」もそうでしたが、「パリは人生を変える街」というイメージなんですね。

 

"From 'Funny Face' 1957" Photo by Kristine

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 監督は「踊る大紐育」等のスタンリー・ドーネン。

 

 監督はオードリーと「シャレード」「いつも二人で」でも組んでいます。

 

 楽曲も素晴らしく、ガーシュイン兄弟の「'S Wonderful ス・ワンダフル」を歌いながら、教会の池でアステアとオードリーが踊るシーンは本作のハイライトです。