「踊る大紐育」(1949年)は、1日だけニューヨークに上陸許可を得た3人の水兵と3人の女性の恋を描いたミュージカル映画です。
"Vera Ellen, Gene Kelly - 1949 movie lobby card" Photo by John Irving
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ゲイビー(ジーン・ケリー)、チップ(フランク・シナトラ)、オジー(ジュールス・マンシン)の3人の水兵は、ニューヨークの名所を24時間で回るべく地下鉄に乗り込みます。
地下鉄に貼りだされた「ミス・サブウェイ」アイビー・スミス(ヴェラ=エレン)のポスターを見て、彼女に一目ぼれしたゲイビー。
なんとかアイビーを探し出そうと3人が乗り込んだタクシーの運転手ブランヒルド(ベティ・ギャレット)は、すぐにチップを気に入り「あなたは助手席に座んなさい」「家に来ない?」と猛アタック。
博物館で出会った人類学者のクレア(アン・ミラー)は「恋がうまくいかないから」と学問の世界にのめり込んだ女性ですが、オジーを気に入る。
うかれたオジーがうっかり触った恐竜の化石が音を立てて崩れてしまい、オジーたちは警察に追われるはめになっちゃうんです。
警察を気にしながらニューヨークの夜を楽しもうとする3組のカップルの恋の結末は?・・・
"Un dia en Nueva York" Photo by Ethan Edwards
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ゲイビーたちは田舎の出身で、大都会ニューヨークに憧れと引け目があるんですね。
アイビーも実はゲイビーと同郷なんですが、ゲイビーが彼女を都会育ちのセレブと思い込んだので、見栄を張って本当のことが言えず。
ゲイビーは無垢だから自分を飾ることも偽ることもしない。だから言動も迷いがなくストレートで前向きなんです。
見栄を張ることほど意味のないことはないけども、そういう回り道も恋物語の醍醐味ではありますね。
"On the Town (1949)" Photo by Rossano aka Bud Care
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許された時間はわずか24時間。その時間が過ぎたら船に戻り、次の港へ旅立つゲイビーたち。
だから彼らは先を考えず今を生きているのです。その分、一生懸命なんですね。
そしてゲイビー達の人柄がイノセントなんですね。まさに純粋無垢。
そこには悪だくみは存在せず、あるのは恋と情熱。
映画の素晴らしきニューヨークには、大岡裁き的な人情もあるのです。
これも古き良きアメリカの良心の世界でしょう。
"Un dia en Nueva York 2" Photo by Ethan Edwards
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元はブロードウェイ・ミュージカルの本作。歌とダンスは極上のエンターテイメント。
特にジーン・ケリーの歌と踊りは、観る者を夢の世界へ誘ってくれます。
映画公開は1949年。50年代からアメリカは空前の好景気に沸くことになるのですが、その前夜なんですね。
そういう背景もあってか、楽観的な雰囲気が全編に溢れており、気分をポジティブに盛り立ててくれます。