今回は豊田市美術館所蔵のクリムト「オイゲニア・プリマフェージの肖像」をご紹介します。
グスタフ・クリムト「オイゲーニア・プリマヴェージの肖像」(1913-14年)
"Klimt" Photo by bm.iphone
source: https://flic.kr/p/99NXL6
クリムト晩年の作品です。かつての「黄金様式」時代の名残りである黄色を漠とした背景にして、人物と衣装にはたくさんの花。
アール・ヌーヴォー的に花をたくさん取り入れて貴婦人を美しく飾り、自然の美と生命感を感じさせる一作です。
肖像画だからでしょうけれども、クリムト的な官能美が抑制されて描かれています。
クリムトも晩年は作風が変わってゆきます。
クリムトの代名詞であるエロスと官能美にしても死のにおいが垣間見えるのが特徴でしたが、晩年はテーマも老いと死そのものを扱うようになるんですね。
この作品を所蔵している豊田市美術館もコロナ禍になってからご無沙汰しています。
写真もコロナ禍になる何年か前のものです。
近代~現代美術に秀でる豊田市美術館は建物自体が現代アート。
敷地に入るとアートが景色として出迎えてくれます。
天気の良い日は気持ちが良いのですよ。
芝生があってまずは噴水が綺麗(上の写真)。天使の輪に見えますね。
二階の屋外にもアート作品があります。鏡というのは不思議です。
空間が無限に広がる錯覚を楽しませてくれる。
ビデオ映像は錯覚がないそのまんまですが、鏡は錯覚を起こす。ここが大きな違い。
昔話では「鏡よ鏡よ・・・」の鏡の魔力だったり、ギリシャ神話ではペルセウスがメデゥーサを倒すのに使ったり。
鏡は古から日常品でありながらも不思議な魅力があります。
鏡自体が日常の中の非日常のアート空間なんですね。
中に入って外を見ると自然の景色もまた違って見えてきます。錯覚=イリュージョンです。
さて、クリムトの様式美を堪能したの後はレストランで一息。
外の景観も良く、立派な豊田スタジアムが見えます。
再び二階の空間へ出て新鮮な空気を味わいます。
池があって噴水が見えます。最初の写真の噴水とは違いますよ。
アートとは日常の中にある非日常です。本来アートは別段高尚なものではなくて普段の暮らしにもあるもの。
特に知識はいりません。
下手に知識があるとかえって直感的に観る感覚が曇ってしまうことが多い。
ヤッパリ考えずに観た方が、本当は何事も楽しいのでしょう。
座ってボンヤリしたり、偶然の出会いを楽しむ。
自由気ままに楽しまないとね。
今は以前のように自由気ままに、とは中々いきませんね。コロナ終息はいつになるのやら・・・。