杜仲飴づくり 杜仲にかける夢! | Thera-Projects掲示板

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杜仲研究開発のきっかけ

1997年の春だったと思う。大昔のことを思い出した。現NPO近畿バイオインダストリー振興会議の専属コーディネーター役を仰せつかっていた時期、よく企業視察を実施した。健康増進を謳い、大大根づくりを可能とする万田酵素で知られる「万田発酵」と造船業から脱皮し、杜仲茶を開発した「日立造船」を訪問した。日立造船さん紹介の食堂で昼食を取ったが、杜仲若葉を使った珍しい杜仲葉の天ぷらにお目にかかった。普通の野菜の天ぷらとは違い、分厚い質感のある大変特徴的な出来上がりで未経験の歯ごたえであった。(我が家にも杜仲木があり、春先の新葉を天ぷらにしています)



  杜仲と言えば、養命酒にも含まれる生薬で 強壮剤血圧降下作用をもつことで注目されていたが、葉や樹皮には、天然ゴム、グッタペルカを含むことから大変珍しい樹木であることから、是非、一度、見てみたいと思っていた。なぜならば、中学時代、理科の先生がガラスを溶かす強酸フッ化水素を唯一収納できるのはグッタペルカ製の器だけであると言われたことに興味を抱いていたからである。                            
 1995年、大阪大学工学部に移籍し、研究テーマを探していた時期であったこともあり、杜仲は化石植物で、樹皮や葉っぱにゴム(グッタペルカ)を蓄積する珍しい植物である。グッタペルカはゴム同様、工業原料になることから杜仲ゴムの研究を取り上げることにした。


 早速、日立造船の研究開発の纏め役の鬼塚重則さんに電話をし、是非、杜仲共同研究を行いたい旨お伝えした。間もなく、鬼塚さんは部下、中澤慶久さんを伴って来学された。話ははずみ、杜仲のお茶以外の用途開発のため、杜仲ゴムの化学的組成分析や生産性の向上等、総合的活用を検証することとなった。以後、杜仲研究で4名の博士が誕生し、杜仲のゴム研究は阪大の小生の研究室の柱の一つとなった。

中国西北農林科技大学との連携 中日杜仲研究所の設立

  一方、日立造船が開発した杜仲茶の製造部門は、小林製薬に買収移管され、杜仲茶づくりは現今まで引き継がれている。一方、杜仲のふるさと中国では、杜仲の樹皮を生薬として古くから使っていた。また、中国西北農林科技大学の蘇印泉教授は杜仲の森つくりを林学的な立場から実践していた。先生は岩手大学で博士号を取得したこともあり、日本語に長けていたため交流に支障はなく、出会いは現時点に繋がる日中杜仲プロジェクトが立ち上がるきっかけとなった。


 小生、現地で講演もつ度に、杜仲は、その用途の広いことより一石五鳥に値する樹木として活用できる稀有な植物であることを語ってきたが、中国でも次第に杜仲の生薬以外の価値が認められるようになり、現在、「中国杜仲集団」が結成され中国でも杜仲総合開発が動き出した。
 杜仲茶製造は「小林製薬」に受け継がれ、日本における杜仲研究は、日本杜仲研究会(2005年4月設立)を中心に拡大しつつあり、小生、研究会の会長を仰せつかっている。
 杜仲茶は、杜仲の葉を焙煎した後抽出製造しているが、その抽出物の成分は、生薬として用いられている樹皮抽出物とほとんど変わらないことが判明し、樹皮とは異なり再生可能な葉を活用することができる点が長所であるが、中国では古くから杜仲葉は塩漬や炒め物として食する習慣があった。そのため、樹皮とは異なり薬事法に抵触しない食材の形で扱え、食開発の分野での杜仲葉活用の追い風となった。
 蘇先生らは、杜仲葉抽出物を乾燥し粉状とした製品を開発し、その普及に努めており、日本では、「ボルカン」の谷岡一治会長が、杜仲精粉茶として販売を手掛けている。

(一社)日本杜仲研究センターの設立

 中国杜仲集団関係者から、日本での杜仲研究のまとめ役を務める組織が欲しいとの要望を受け、2017年、弊社団テラプロジェクトの支援で(一社)日本杜仲研究センターが設立された。理事には杜仲研究者を迎え、小生、理事長を拝命し、事務局は理事の一人、中国出身の頼萍さんにお願いしている。


 この度、日本杜仲研究センターが中心となり、羽衣国際大学の中井久美子先生のご助言を受け、飴を製造しておられる「ナカニシ製菓」さんにお願いし、「おおさかのオバチャン」に楽しんで頂く目的で杜仲飴を製造して頂いた。長年飴づくりを手掛けるナカニシ製菓社長さんの評価では、「よい飴ができた!」とポジティヴな意見を頂いている。目下、杜仲飴に関して、センターの理事の先生方のご意見を拝聴している段階だが、さらに機能アップさせ、大阪のオバチャンに喜んで頂ける製品に仕立てていきたいと思っており、中国市場でも紹介していきたいと思っている。
 興味のある方は、弊社団で試食して頂くことができる。是非、試食下さい。