「キリストは、教会堂という神聖な場所を汚す人たちに腹を立てたのです。
ムチで追い払ったのです。
それは怒りそのものでした。
それが良いか悪いかは別の問題です。
キリストは怒ったのです。
怒ることは人間的感情です。
私が言いたいのは、キリストも人間的感情を備えていたということです。
キリストを人間の模範として仰ぐ時、キリストもまた一人の人間であった 一 ただ普通の人間より神の心をより多く表現した人だった、という風に考えることが大切です。
分かりましたか。」
一 分かりました。
「私はあなたのためを思えばこそ、こんなことを言うのです。
誰も手の届かないところに祭り上げたら、キリスト様が喜ばれると思うのは大間違いです。
キリストもやはり私たちと同じ人の子だったと見る方が、よほど喜ばれるはずです。
自分だけ超然とした位置に留まることを、キリストは喜ばれません。
人類とともに喜び、ともに苦しむことを望まれます。
一つの生き方の手本を示しているのです。
キリストの行ったことは、誰でも出来ることばかりなのです。
誰もついていけないような人物だったら、せっかく地上へ降りたことが無駄だったことになります。」