こんにちは、経営と融資の専門家:中小企業診断士鈴木崇史です。本日はサイゼリアの社長さんの著書から経営の原則を抽出したいと思います。

先生業向け法人開拓セミナー
①商品の価値とは
「サイゼリアはおいしいから売れるのではない」
「絶対的においしいものなどない」
「のどが渇いていれば水をいつもよりおいしいと感じる」
だからこそ、どんな時に使われる店かによって求められる商品が決まると指摘しています。サイゼリアは商圏を狭く捉え、来店頻度の多い店舗(近くて、安くて、よく行くお店)を目指しているのでシンプルで薄めの味、毎日でも食べられる味を目指しています。
商品の価値はお客様の「用途」に合っているかどうかが重要
と述べられています。
「自分の店の料理は上手い、が店を滅ぼす」
「いいものを作れば売れる、の呪い」
(マーケティング専門家、株式会社刀:森岡毅氏)
②売上は本社の責任
サイゼリアでは店長に売上目標は課していないそうです。
売上は本社の責任だそうです。
これは店舗経営に関わった人にとってとても意外ではないでしょうか。
多くの企業では経営計画を作るときに売上目標を
店舗・部署ごとに割り振りをして一仕事した気になっています。
私は必ずしも売上目標が悪いとは思いませんが
目標を現場に張り付けて後は現場に任せているだけの
企業が多いことは確かだと思います。
サイゼリアでは経費を抑えることを目標にしているそうです。
何が正しいのでしょうか。
私は『来期の売上目標を前年対比で決めてはいけない理由』
の中で「目標は施策とセットで立てる」と述べましたが
施策を誰がメインでするのかが重要になってくると思います。
例えば店舗の前で呼び込みをすることが大切な施策であれば
売上目標は店舗が持つべきでしょう。
キャンペーンやイベントが大切なら企画部だったり
SNS集客が大切なら広報部だったり
「水に常形なく、兵に常勢なし」
私は孫子の兵法のこの一節が経営には重要と考えています。
売上目標は○○部門、ではなく
やろうとする施策・方針によって変えていくことが肝要です。
③社長は誰から学ぶべきか??
社長は会社で一番地位が高い人です。
創業者であれば社歴は一番長いはずです。
もしかすると業界経験も一番長いかもしれません。
年齢も高い方でしょう。
では、社長は誰に学ぶべきでしょうか。
「社長は新入社員から学ぶ」
「社長には社長の、課長には課長の、
新人には新人なりの見方がある」とあります。
私は振袖ショップを経営する会社で
新店舗の責任者をしていた時期がありますが、
どの商品が可愛いか、どの配置が可愛く見えるかは
年齢が若い社員・アルバイトに聞きました。
ヘルプで来てくれた社員の意見も参考にしました。
経営の神様と呼ばれるドラッガーはこう述べます。
「人材が一番価値を発揮するのは入社3か月以内」と。
④気付きを与える存在
ニュートンはりんごが落ちたのを見て万有引力を発見した。
多くの人が知るこの逸話に著者は注目しました。
そう、万有引力を発見したのはいつもりんごの木を見ている農夫(その業界のプロ)ではなく、おそらくりんごを育てたこともないニュートンだったのです。りんごが落ちたことの理由を業界人である農夫に聞いたら「りんごが熟したから」と答えただろう、と著者は指摘します。
このことから著者は飲食業界以外の方の目線を重視しました。
一方でまだまだ業界経験のある人から
学ぼうとする経営者は多いように思います。
世界の経営コンサルティングには大きく2つのタイプがあります。
グレイヘアーコンサルティングとファクトベースコンサルティングです。
グレイヘア(白髪)コンサルティング・・・その業界などで経験を積んだ高齢な方が経験をもとにアドバイスをするタイプ。
ファクトベースコンサルティング・・・数字という客観的事実をもとにロジカルに問題発見・課題解決を行う手法。
世界の主流はファクトベースコンサルティングです。
日本ではまだまだ業界経験などを売りにする
グレイヘアコンサルティングが幅を利かせています。
経験をもとにアドバイスをする人は
「りんごが熟したから」落ちただけだと答えるでしょう。
成功する経営者はロジカルな素人の目線を
大切にしていることがわかります。
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