ある日、俺は思い切って絵玲奈を市内のお祭りに誘った。当日は休日とはいえ、開催の時間帯がやや遅かったため、少しハードルが高いと思っていた。しかし、意外にも絵玲奈はすぐにOKの連絡をしてくれた。
その日の夜、俺は会場近くの市役所前で絵玲奈が来るのを待っていた。浴衣姿の彼女はあでやかで、俺は胸の高鳴りを抑えるのに必死であった。
最初、俺と絵玲奈は近くで寄り添って歩いていた。しかし、人混みではぐれそうになったときに、俺は思わず彼女の手を握った。その瞬間は、お互い照れるようにうつむいてしまったが、その後は、そのままずっと絵玲奈の手をつなぎ、俺たちはこの夜のお祭りを楽しんでいた。
最後に打ち上げ花火を見た後、俺は絵玲奈を家まで送っていった。本音を言えば、ここでキスまでいきたかった。絵玲奈がじっと俺を見ているような時があったり、彼女の家に着いたときも、なかなか家の中に入ろうとしなかったりなど、チャンスがあったとは思うのだが、ここでチキンな自分が出てしまった。
そんな自分にため息をつきながら、俺も自宅に帰ることにした。その途中、子どもをつれて家路に着く家族とすれ違った。恐らく、あのお祭りの帰りなのだろう。
その瞬間、これまで抱えていた引っ掛かりのなぞが解けた。
ここに来る少し前、下の子が小学校に上がったのをきっかけに、俺は家族で久々に出かけていた。それが、このお祭りであったのだ。
時間軸の流れが違っているとはいえ、もう、向こうでも数日が経っていると聞いた。夢の中で、妻の真希が目覚めない俺の手を握り、涙するのを2・3日前に見ていたことが、脳裏によみがえってきた。
「真希と出会ってしまった自分は、絵玲奈に向き合うことはできない」
こっちの世界で、実際にどうなるかはまだ分からない。だが、少なくとも今は、それが、俺が導き出した答えであった。それからというもの、絵玲奈との時間は確かに楽しい時間ではあったが、どこか身が入っていない状態であった。そして、そんな俺を、絵玲奈が見過ごすはずもなかった。
その日の夜、俺は会場近くの市役所前で絵玲奈が来るのを待っていた。浴衣姿の彼女はあでやかで、俺は胸の高鳴りを抑えるのに必死であった。
最初、俺と絵玲奈は近くで寄り添って歩いていた。しかし、人混みではぐれそうになったときに、俺は思わず彼女の手を握った。その瞬間は、お互い照れるようにうつむいてしまったが、その後は、そのままずっと絵玲奈の手をつなぎ、俺たちはこの夜のお祭りを楽しんでいた。
最後に打ち上げ花火を見た後、俺は絵玲奈を家まで送っていった。本音を言えば、ここでキスまでいきたかった。絵玲奈がじっと俺を見ているような時があったり、彼女の家に着いたときも、なかなか家の中に入ろうとしなかったりなど、チャンスがあったとは思うのだが、ここでチキンな自分が出てしまった。
そんな自分にため息をつきながら、俺も自宅に帰ることにした。その途中、子どもをつれて家路に着く家族とすれ違った。恐らく、あのお祭りの帰りなのだろう。
その瞬間、これまで抱えていた引っ掛かりのなぞが解けた。
ここに来る少し前、下の子が小学校に上がったのをきっかけに、俺は家族で久々に出かけていた。それが、このお祭りであったのだ。
時間軸の流れが違っているとはいえ、もう、向こうでも数日が経っていると聞いた。夢の中で、妻の真希が目覚めない俺の手を握り、涙するのを2・3日前に見ていたことが、脳裏によみがえってきた。
「真希と出会ってしまった自分は、絵玲奈に向き合うことはできない」
こっちの世界で、実際にどうなるかはまだ分からない。だが、少なくとも今は、それが、俺が導き出した答えであった。それからというもの、絵玲奈との時間は確かに楽しい時間ではあったが、どこか身が入っていない状態であった。そして、そんな俺を、絵玲奈が見過ごすはずもなかった。