続編 マダムお気に入りのヤクザなお花屋さん | シャネルを着た悪魔の阿修羅道

シャネルを着た悪魔の阿修羅道

フランス語圏内のとある邸宅で働く個人秘書Aが綴る、よもやま話。

 

以前に、マダムがお気に入りのお花屋さんの話を書きました。

 

 

今回、ムッシュとマダムが主催するイベントで、

このお花屋さんにデコレーションを頼むことに決めました。

 

ラストミニッツの依頼だったにも関わらず、

二つ返事で承諾してくれました。

 

クマのおっちゃんとシルバーバックさんから、

事前に会場を見たいと言われたため、

関係者を集めて下見をしました。

 

その時のシルバーバックさんは、

ダボッとしたセーター

お店の緑のチョッキを着て、

下は中途半端な7部丈のジャージ

足元はフワフワなピンクのサンダル

つっかけという感じです。

 

そして突然会場のど真ん中ガニ股になり、

リンボーダンスのような格好で

会場の様子を撮影し始めました。

みんなが話している途中だったので、

シルバーバックさんの行動に周りも呆然

 

その1週間後に関係者を集めて会議をしました。

もちろんシルバーバックさんは下見とほぼ同じ格好

周りのみんなを巻き込む発言も行動も同じ。

この会議はムッシュとマダムも参加していたのですが、

シルバーバックさんを初めて目の当たりにしたムッシュ、

 

「こいつは面白いやつだ!」

 

と気に入ってしまいました。。。

そう、ムッシュは癖のある変な人大好きなのです!

 

下見と会議を経てマダムの要望を伝えると

 

「わかりました、ムードボード見積もりを送ります!」

 

というシルバーバック。

 

しかし、いつまで経ってもムードボードも見積もりも来ない。

こちらからリマインドをしても

 

「わかっている。送る。」

 

と言われるだけ。

 

それなのに、その間も深夜の鬼電運転中の鬼電

真夜中のどうでもいい動画や画像のメッセージが山のように。。。

いつになったら会場のイメージや見積もりが来るのか??

 

 

そして結局イベントの3日前の引き下がれない、

こちらが拒否もできない状態

 

「これが見積もりです」

 

と送ってよこしたヤクザ商法

 

「私は、自分が支払うことを考えて、

良心的な値段で見積もりを出しました!」

 

善人アピール

法外な値段では無かったものの、

それでも予想よりも1.5倍くらい高かったです。。。

 

そして一度見積もりを送ったら、次から次へと

 

「これを支払ってくれ。支払ったら証明書を送れ」

 

と止まらない、ヤクザのような取り立ての毎日

 

会場のデコレーションのスケジュールも一悶着。

 

「私たち(シルバーバック一族)はイベントの2日前から開始したい。

前日は夜中までやらないと間に合わないし、

当日は朝の7時から始めないと間に合わない!」

 

と主張して、周りを動かしました。

ヤクザが言うように周りがそのために動いたところ、

前日は20時に終わって勝手に帰ってしまうし、

当日は朝の7時なんて現れるわけもなく、

結局出勤してきたのは午後3時過ぎ・・・。

みんなシルバーバックのヤクザっぷりに振り回されました。

 

結果的にはヤクザが提案したエキセントリック

統一感のないムードボードはマダムから修正され、

提案されたものよりも統一されて、

かなり素敵なデコレーションになりました。

 

そしてイベント後は、余ったお花をマダム宅への

定期配達再利用して二重請求し、また儲けていました(!)。

 

マダムもヤクザ商法は分かっていながらも

 

「面白いから許す」

 

的な心構えで笑い飛ばしていたので、

きっとこれからもマダムはこのお花屋さんを使い続けるでしょう。

 

ムッシュとマダムの下で働いていて思うのは、

 

「キャラ勝ち」

 

って本当にあるんだな・・・ということ。

このお花屋さん夫婦もいい例です。

普通の業者で考えたらマダム的にはアウトなことが殆ど。

それなのに、逆に気に入られてしまうというのは、

おっちゃんとシルバーバックさんのキャラ勝ちなのでしょうね。