ロンドン観劇遠征① 英国ロイヤルバレエ「マノン」ネラさま&ボッレさま@ロイヤルオペラハウス | 明日もシアター日和

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観たもの読んだものについて、心に感じたことや考えたことなど、感想を綴ってみます。

マリアネラ・ヌニェス/ロベルト・ボッレ/平野亮一/イツァール・メンディザバル/クリストファー・サウンダーズ/ギャリー・エイヴィス

 

 あと少しバレエの記事が続きます🙇‍♀️ ロンドンで観たてきた「マノン」感想です。今回観た2公演=ネラさま&ボッレさま(2月9日)、ローレン&マシュー(2月14日)のほか、できればヤスミン&ウィリアムのも観たかったけど、旅程に組み込むのが無理な上演日だったので断念。いつか来日公演で全幕踊ってくれるのを願って🙏

 今回の「マノン」は全9ペアで、メリッサ&カルヴィン以外は各ペア2公演ずつ。今年は「マノン」初演から50年という節目に当たるからなのか、力が入ってます。前回の「マノン」公演は2019年で、実はそのときも、ネラさま&ボッレさま(←客演)と、ローレン&マシュー(←ロールデビュー)を観に遠征したんですよー☺️と自分を褒める。

 

 ネラさま&ボッレさまの2公演は発売時から席の埋まり方が凄まじく早々に完売。イタリアから大挙して来英しているようで、劇場内はイタリア語が飛び交っていました。2人が踊るのは私が観た金曜夜と翌週土曜夜で、イタリアから遠征できるよう週末に組んであげるという(たぶん)ロイヤル側の気遣いが。もっとも、週末はロンドンに連泊して £ を落としてってくださいね!というのもあるだろうから、英伊にとってwin-win ですね。

 

 

 

 はぁ~、ネラさま凄かった🎊 少女でありコケットでもあり、純粋無邪気なのに計算高くもあり、贅沢な生活に惹かれるけどデ・グリューへの愛も捨てられない。自分勝手だけど献身的でもあり、本能的かつ運命に流されるようでいて意志を持ち、娼婦的だけど最後は聖女のように見えたりする。自分というものがまだ定まらない複雑な性格がモザイクのように組み合わさった女性。ネラさまは、ちょっとしたステップやポーズ、表情や仕草から、マノンのそういうの全て見せてくれた。なんという深く繊細な表現なんだろう。

 出会いのシーンでデ・グリューのキラッキラの笑みにグイグイと魅せられ輝きを増していく目。寝室のPDDでのイタズラっぽい表情からやがて高揚感に満たされて宙を舞う姿。なのに、G.M.からもらった豪華なローブとネックレスを身につけたネラさまは、背中をグッとしならせて熟女のような色っぽさを見せる。ところが娼家では、G.M.の愛人になりながらもどこか後ろめたさを隠しきれない表情。現れたデグリューの方を見ずにはいられないのに、彼と目が合うと戸惑って思わず顔を背けてしまう。沼地では過去の夢を追いかけるように彷徨い、もっと生きたいと何かに縋り付くように空をつかみ、デ・グリューに抱えられて一瞬の安らぎに安堵する……そんなマノンだった😭

 

 そしてそして、こんなに激しくオープンに感情をほとばしらせるボッレさま観たことなかったよー。出会いのPDDで見せるボッレさまの笑みはダイアモンド・レベル✨ 恋を知った喜びの表情はあまりに無垢で、私は「いや、好きになっちゃダメだよダメだよ、このあとは不幸しかないよ」と心の中で叫んでしまいましたよ😅 寝室のPDDで見せる至福の笑顔も眩し過ぎる。そこから一転、娼家で男たちにチヤホヤされるマノンを見る彼は、怒りとか嫉妬心とかではなく、戸惑いや苛立ち、そして悲しみを隠さない。なんて弱々しいデ・グリューなんだろう。マノンに思いを吐露するソロには哀愁が漂い、自分の元に戻ってきてと訴える表情が愛おしかった。最後、息耐え横たわるマノンを前にして天を仰ぐように激しく慟哭する姿はすさまじかった。ただただマノンを愛しマノンの人生に翻弄される無力な青年として踊りきったボッレさまでした🎉

 

 2人の息はぴったりで、出会いのPDDも寝室のPDDも吸い付くように一体となり、音に乗って滑らかに流れるような踊りを見せる。特に寝室でのPDD、何なのあの300%の幸福オーラは😆 2人が年齢を全く感じさせないのはもちろんだけど(特に、ボッレさまはなんと48歳、3月には49歳になる!とは信じられない驚異的な若々しさで、伸びやかでエレガントな踊りはまだ健在。その表現力ゆえに、まさしく青春真っ只中にある青年だった)、2人には体力的なキツさを見せないテクニックがあり、年齢を重ねてきたからこそ表現できる深い踊りでもあった。これって歌舞伎役者と同じだなと思ったりしました。今回の遠征はこの2人の舞台に合わせて日程を組んだのですが、本当に行って良かったー。

 

 今年はボッレさまがロイヤルバレエのゲストダンサーになってから25年ということで、上演終了後、ケヴィン・オヘア氏からお祝い&お礼の言葉とシャンパンのプレゼントが。「彼は舞台以外のところでも寛大で温かく……」とケヴィン氏がボッレさまの人柄をわざわざ褒めるくらいだから、ボッレさまってホントにイイ奴なんだろうな。

 

 

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