演出/振付 安達悦子(プティパ、イワノフ、石田種生版による)
飯塚絵莉/吉留諒/栄木耀瑠
🌅明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
年明け早々に惨事が連続して起こってしまいました。ご家族の方の悲しみや辛さを思うと胸が痛みます。亡くなられた方、被災された方や負傷された方に、心よりお悔やみ及びお見舞い申し上げます🙏
本年最初の感想ブログはオンライで視聴したものです。昨年8月に山形市で上演された上記の公演が1月3日まで無料配信ということを知り、滑り込みで観ました。観劇の記録として簡単に感想を書いておきます。これは2022年にジェルマンと八菜さんをゲストに迎えて上演したときのもの(←観てないけど)とは違うのかな。その時の美術は藤田嗣治さんですが、こちらは「通常美術でやる」と書いてありました。また演出・振付は芸術監督の安達さんになっているのでちょっと変更されたのかも。
ジークフリードの吉留さんが王子らしさに溢れていて大変良かったです👏 踊り出したらいきなりすっごく優雅でオッと前のめり鑑賞になった👍 腕のしなりや着地のプリエがエレガント、ジャンプもふんわりと美しいです。1幕ではあまり鬱々とした感じは見せてなくて、そういうキャラ造形なのかな。3幕でのオディールへのラブラブから絶望のどん底への表現はよかったし、2幕と4幕の踊りに多少変化があり(4幕では力強さが)、王子の成長譚として成り立っていたと思う。
一方、飯塚さんのオデットとオディールは、その演じ分けがちょっと緩く感じました。特にオディールはどういう存在として王子を誘惑しているのか、もう少しキャラを強く出してもいいんじゃないかな。でもテクニックは高く、ポーズした時の腕のラインが大きくて綺麗だし、グランフェッテは軸足がけっこう動いちゃったけどスピード感があった。王子を騙したあとの演技も痛快でした。あと、道化役の栄木さん、1幕で王子を気にするところやコミックリリーフ的なマイムなど、キャラクター性がちゃんと出ていて良かったです。ダンスもキレキレでステップはとても安定していました。
この版はハッピーエンドなんですね。王子は最初はロットとは戦わずオデットを死守。アラベスクで立つオデットを王子が支えてポーズしたまま、その前で他の白鳥たちがロットを囲んで踊ります。動きを止めたその2人にスポットライトがずっと当たっているシーンは、2人の愛の強さを鮮やかに見せる演出で感動的でした✨ その愛の力でロットはどんどん力を失っていき、最後に王子が戦ってロットの羽をもぎ取り勝つ。暗転してライトが点くとオデットと他の白鳥たちが人間らしいロングスカート姿になっているというラスト。
個人的には悲劇ヴァージョンが好きなんですが、ハッピーエンド版の中でも一番苦手なのは、実は本作のような「王子がロットの羽をむしり取る」ってやつです😓 セルゲイエフ版がそれですね。この場合ロットはフクロウの怪物だと思うんだけど、生きてる鳥の羽を掴んでもぎ取っている実際の行為が思い浮かび、リアルにその痛みを感じてしまって、ほんとダメなんですよ😖 ここでのロットの羽は魔力を発揮する道具で、それをむしり取ることでロットの魔力消滅→ロット自身の破滅ということなんだろうけど、どうしても羽にこだわるのなら、自然にポロリと落ちてしまうとか、何か違う形で滅んでほしいよ……。パフォーマンスとは関係ないシメで失礼しました🙇♀️