治療開始前の原発巣の造影CT画像です。
広範囲に乳がんの乳房内病変と皮膚浸潤を認めます。
最新の胸部造影CT画像です。
局所の再燃はありません。
治療開始前の左腋窩リンパ節転移です。
複数のリンパ節腫脹を認めました。
最新のCT画像です。
同部の再燃はありません。
左腋窩リンパ節levelⅡからⅢにかけての転移です。
こちらは郭清せずに化学療法と放射線照射のみ行っています。
最新のCT画像です。
こちらも再燃はありません。
鎖骨上リンパ節転移です。
こちらも化学療法と放射線照射のみ行っています。
最新のCT画像です。
転移消失を維持しています。
治療開始前の肝臓の造影CT画像です。
S3区域に2個の肝転移を認めます。
最新のCT画像です。
こちらも消失を維持し、再燃はありません。
骨転移も再骨化し、再燃はありませんでした。
治療開始から4年過ぎのPET画像です。
現在、初診から4年と3ヶ月になります。
再燃なく長期無病状態を維持されています。
以前、こちらが話していても、声が聞こえ難いのか、途中から話し始められて最後まで話切って、大きな声で笑っておられるのが特徴の、とても愛嬌のある明るく元気な方でした。
その後最新の補聴器を購入され、良く聴こえる様になったと喜ばれていまた。
しかし今も、こちらが話していても、途中から大きな声で話し始められて、こちらがさらに大きな声で説明しようとしても、さらに大きな声で話し切られ、最後に元気な笑い声をあげられる話し方は変わっておられません。
もう70歳の半ばも超えられましたが、
「元気になって、娘も喜んでくれている。」
と、今日も元気に過ごしておられます。
これから再燃する事があるのか、それともこのまま天寿を全うされるまで無病状態を続けられるのかは分かりません。
しかし、この方がご家族様といつまでも元気に笑顔で過ごされる事を心から願っています。
最後に、、
「若いから無病状態を目指した治療ができる。
若いから根治を目指した辛い、危険な治療に耐えられる。」
と言った誤解を招く様な言葉を、根拠なく口にされる医師があるとしたら、それは如何でしょう。
少なくとも私の行っている治療にはあまり当てはまらない様に思います。
70歳代は高齢ではない、若い方だ、と言われるかもしれません。
因みに私は、80歳代の方でも、お元気で根治を希望される方には、可能だと判断すれば、根治を目指した治療を提供させていただいています。
「一部の方の良好な治療経過が全ての方に当てはまるとは限らない。」
と言う考えには賛成です。
ですが、たとえ自らが治せないからと言って、他の医師も同様に治せない、あるいはその様な医療に惑わされるな、と言った事を自らの相談者にアドバイスされるのは、少し違うのではないかなと私は思います。
(ただし、保険診療外の治療は決して勧めません。)
「進行乳がんが100%治る」
事が無い様に、
「進行乳がんは100%治らない」
も誤りである事を、私の患者さん方が証明し続けておられます。
全ての医師は、たとえ目指す方向が違っていたとしても、患者さん方の幸せ、医学の発展を想う気持ちは同様であると私は信じたいと思っています。