70歳代、トリプルネガティブ乳がん、局所再発、鎖骨上リンパ節転移再発の方② | the east sky

the east sky

いつの日か、すべての進行乳がん(切除不能乳がん・転移乳がん・再発乳がん)が根治する日を願っています。

70歳代半ばで、トリプルネガティブ乳がん、局所再発、鎖骨上リンパ節転移再発の方がセカンドオピニオン外来を受診されました。



トリプルネガティブ乳がんの転移・再発で、私のセカンドオピニオン外来受診を希望される方に、通常私が特別にお役に立てる事はあまりありません。



最近はPD-L1阻害薬等が出てきておりますが、トリプルネガティブ乳がんは基本的に化学療法のみが治療薬であり、あまり治療に工夫がし難い事が理由になります。



つまりは、誰が治療に携わっても、それ程治療に差は無く、大切な多くの時間やお金を費やしていただいて、わざわざ私の所にお越しいただくメリットがないからです。



また、トリプルネガティブ乳がんは、薬剤耐性が非可逆的に進行する事が多いと感じています。


つまり、一度耐性となった薬剤は効果を示さない事が多い事を実感しています。


その様なトリプルネガティブ乳がんの方から依頼されるセカンドオピニオンの多くは、


「既に多くの薬剤を使い効果が無くなっています。


今後提案されている治療は〇〇です。


他に治療法を知りたい。」


と言う内容になります。


もし私にその知識や経験があれば是非お伝えしたいのですが、トリプルネガティブ乳がんに関しては、ほぼ治療に携わっておられる先生方以上の知識は私にありません。


なので自然とセカンドオピニオンをお断りする機会が多くなっています。


私の力が至らず、大変申し訳ありません。




ただ、この方の場合は少し事情が違っていました。


最初の手術が、セカンドオピニオン外来を受診される12年前でした。


乳房部分切除術およびセンチネルリンパ節生検術を受けておられました。



その後再発は無く、12年後の残存乳房再発と鎖骨下リンパ節転移再発でした。



ルミナルタイプ乳がんでは時に見られますが、トリプルネガティブ乳がんでは比較的早期再発が多く、術後補助療法を行った後、10年以上無治療であった中での再発でした。



まだ他の理由もありましたが、これは本当の意味の「再発」では無く、「残存乳腺に新たに出現した新規乳がん」と考える方が妥当であると判断しました。



今回の乳頭レベルの造影CT画像です。



右側と比較して、左側の乳頭とその周囲の皮膚が分厚くなり、白く造影されています(赤い矢印)。



私は、この方は充分に無病状態に到達する可能性はあると判断しました。


トリプルネガティブ乳がんですし、全身治療でもしがんが遺残すれば、いずれ命に関わる状態になる事が推察されますので、全身治療の後に、原発巣および転移リンパ節切除は検討しても良いのでは無いかと、ご本人様とセカンドオピニオンのお返事でもお伝えしました。