70歳代、発赤を伴う局所進行切除不能乳がん、Luminal HER2タイプ、肝転移、鎖骨下・腋窩リンパ節転移のある方に根治を目指した治療を行いました。
原発巣、広範囲皮膚浸潤、結合組織の広範囲浮腫がありました。
乳がんの広範囲の広がりを疑いました。
腋窩リンパ節転移です。
鎖骨下リンパ節転移です。
原発巣、転移巣消失あるいは縮小後(cCR or nearly cCR後)に原発巣の根治切除および腋窩リンパ節郭清術を行いました。
手術標本の最終病理診断結果は、
「原発巣:組織学的にがんの遺残なし。治療効果判定Grade 3。腋窩リンパ節転移 n = 0/11(リンパ節へのがん遺残なし)。」
でした。
治療開始から11ヶ月後のCT画像です。
局所およびリンパ節への再燃はありませんでした。
上腹部の治療前造影CT画像です。
肝S7に1個の肝転移を認めていました。
治療開始11ヶ月後のCT画像です。
瘢痕化した像を認めます。
原発巣およびリンパ節転移が完全寛解していたのと、画像上徐々に縮小している事から、今のところ肝転移消失後の瘢痕と判断しています。
ただし、油断無く経過観察は続けていく予定です。
今は明らかな副作用の無いメンテナンス療法を続けています。
少し前、外来で大変お待たせしてしまっていたのですが、
「孫が産まれました!
写真見てくれたら待ってても辛く無いので、写真見てください^ ^!」
と言って、満面の笑みでお孫さんの写真を見せて下さいました。
昨日は、
「寝返りを打てる様になりました^ ^!
首も座ってきましたー!
本当に可愛いんです^ ^!」
と報告してくださいました。
私から
「最初来られた時はどうなる事かと思っていましたが、こう言う日を迎えていただけて、本当に良かったです。」
とお伝えしました。
患者さんからは、
「今は孫が生き甲斐です!
あの時は、怒ったり、わがままを言ったりして、本当に申し訳ありませんでした。」
とにこにことお話ししてくださいました。
この方の未来はこれからもずっとずっと続いていきます。
世代は次の代に繋がっていってくれています。
この方がこれからも元気に、お孫さんの成長を見守っていかれる事を心より願っています。
私は、お孫さんのご報告をお聞きするのと、この方の笑顔を見る事をいつも楽しみにしています。