一人の方の未来が開けた日 | the east sky

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いつの日か、すべての進行乳がん(切除不能乳がん・転移乳がん・再発乳がん)が根治する日を願っています。

30歳代のある方がお母様と共に、術後初めて来院されました。


局所進行乳がん、両側腋窩リンパ節転移、増殖速度が非常に速いLuminal HER2 typeの腫瘍でした。



もう治らないと主治医に言われ、セカンドオピニオンの後、出来れば根治したいと転院して来られました。



私は決して突拍子もない治療をしている訳ではありません。


保険診療で認められた薬剤を、一人ひとりの患者さんのお身体や腫瘍の状態を正確に判断し、ただバイオロジーに基づいて、理論的に使ってはいます。



奏功すると判断した薬剤が、最初は効果を示すも、急速に効果がなくなり、直ぐに薬剤を変えました。


これが奏功しない場合、厳しいかもしれないと考えていましたが、原発巣、転移巣ともに縮小して行きました。


ただその代わり、副作用も強く2週間は食事がほとんど摂れない状態になられました。



しかし、若さもあると思います。次の1週間で体調を整えられました。



私は、今の治療が無病状態を目指すならばキーとなる治療である事、これが使えない場合、非常に厳しいかもしれないと、上記の私の考えを正直に伝えました。



この方は、「続けます。」と力強く、治療継続を選ばれました。


私は、「その代わり、もし体力的に厳しくなったらいつでも中止することをお伝えしました。」



それから数サイクル経過した後、CT画像で再評価しました。


腫瘍は縮小し、両側腋窩リンパ節は根治切除可能な状態にまで縮小、あるいは消失していました。

(まだ治療前後喫緊のため、画像提示は控えます。)



皮膚の浮腫は残っていましたが、私の経験上、皮内リンパ管内のがんはほぼ消失し、根治切除するなら今と判断しました。


また体力的にもそろそろ限界かと判断し、そして手術を提案しました。