エクソンの変化により、転移乳がんが「治る」から「治らない」へ変化する事が確認されている | the east sky

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いつの日か、すべての進行乳がん(切除不能乳がん・転移乳がん・再発乳がん)が根治する日を願っています。




ルミナルタイプの切除不能乳がん、転移乳がん、再発乳がんの標準治療では、命が危険に晒されていない場合、内分泌療法±CDK4/6阻害薬が推奨されているかと思います。


これまでに示した、実際の患者さんを対象にした基礎研究では、上記標準治療を行う事によって、治療感受性の高い乳がんから治療抵抗性のある乳がんに変異する可能性が高い事が示されていました。


実際の臨床試験の結果からも、それを裏付ける様な、治療が進むにつれて薬剤感受性が低下していく傾向が示されました。



ここでそろそろ真剣に考えなければならない最大の疑問にぶつかります。



○ 進行乳がんは、本当に治らない病気なのでしょうか。



もしかして、

「本当は治る可能性のある病いなのに、今標準治療を行っている、世界中の多くの乳がん治療専門医が、ただ治せていないだけ。」

と言う可能性は無いのでしょうか。



以下は、大腸がんおよび肺がん、乳がんの意味のある全エクソンを調べた研究です。




人はそれぞれ異なった遺伝子配列を持っています。


ただ、全ての遺伝子に意味があるのでは無く、人が成り立ち、暮らしていく為に必要な、何かしらの役割りが確認されている遺伝子は、およそ23,000個とされています。


細かな所は省略しますが、その意味のある遺伝子は、必要な時にタンパク質を作って(産生して)作用しています。

その必要なタンパク質を作る鋳型の部分がエクソンです。

鋳型を調べれば、その鋳型から作られるタンパク質の異常も推察できます。


この研究では、その全てのエクソンを一気に調べています。


今はその様な事が出来る時代なのですね。

その様な時代だからこそ分かった大切な事が沢山あります。


20年以上前にホルトバギー先生達が感じた、

「確実に治る転移乳がんは確かにある。

しかし、多くの乳がんは今は根治し難い。」

と言う言葉に、サイエンスを基に進行乳がん治療を考える私としては、いつまでも縛られてて良いものかと真剣に想っています。



話を戻します。


○ 進行乳がんは、本当に治らない病気なのでしょうか。

それとも、

○ 多くの標準治療を行っている医師が、ただ進行乳がんを治せていないだけなのでしょうか。


あるいはさらに突っ込んで、


○ 標準治療を行う事によって、本来治る可能性のある病いを、治らない病いに変えてしまっている可能性は無いのでしょうか。


今回取り上げた研究は、その応えに辿り着くヒントを与えてくれる研究です。