HER2タイプ切除不能・転移・再発乳がんのファーストライン(第一選択)である、ハーセプチン+パージェタ+ドセタキセルは純粋に、既存の治療法(ハーセプチン+ドセタキセル)よりおよそ6ヶ月「増悪を抑える」「延命(70%全生存期間)」がゴールでした。
それが臨床試験で証明されて、ファーストラインの治療とされました。
セカンドライン治療として推奨されてきたカドサイラは、どう言った理由で推奨されているのでしょうか。
それは以下の論文が根拠になっています。
これによると、切除不能・転移・再発乳がんにおいて、ファーストライン治療(一次治療)として既存のハーセプチン+タキサンが投与されています。
その治療が効かなくなって(増悪して)その「あ・と・に」、セカンドライン治療として、
①ラパチニブ(タイケルブ)+カペシタビン(ゼローダ)②T-DM1(trastuzumab-emtansine, カドサイラ)
が投与され、どちらが有効かを比較しています。
またの機会があれば、タイケルブについてお話ししたいと思いますが、この治療は選択肢として納得がいきます。
問題はカドサイラです。
これまでに何度か話していますが、カドサイラはハーセプチンに抗がん剤のエムタンシンを結合させた薬剤です。
したがって、ハーセプチンが結合出来ない細胞には、抗がん作用を発揮しません。
なのに、ハーセプチン+タキサンに耐性を獲得した方々を対象に臨床試験を組んだ意図が分かりません。
(おそらく、臨床試験の呪縛と言いますか、臨床無視の手順重視のためにこうなったのだと推察は出来ますが…)
それでも、①タイケルブ+ゼローダ群よりも②カドサイラ群の方が、無増悪生存期間、全生存期間共に有意に長かった、と言う結果が確認され、セカンドラインに、タイケルブよりもカドサイラが推奨される事になりました。
しかし、ここに少なくとも大きな問題点が2つ浮かび上がってきます。