治療経過は人それぞれで、本当にお一人おひとりが特別な経過を辿られています。
特に再発治療をある程度受けた後にお越しになられる方は、私の治療戦略の応用編的な対応が必要な事も多々あります。
50歳代前半で肝転移をされた方。
再発時のPET検査です。
肝左葉に一箇所の集積を認めます。
輪切り像です。
オレンジに光っている所が肝転移巣です。
診断が付かなかった為か、転移が1つだけだったからか、診断後直ぐに肝切除をされました。
それでも、腫瘍マーカーが基準値内までに下がらない為に、私の所に紹介受診されました。
通常、ある程度大きさのある肝転移は、かなり悪性化しているため、転移の周囲にがん細胞が散らばっており、切除やマイクロ波焼灼術、ラジオ波焼灼術を行っても、直ぐに周りに出てくる事が多く見られます。
従って私は、肝転移に対して直ぐに局所治療は行わず、全身治療から治療を開始します。
この患者さんは肝転移に対し、ある程度距離を取って切除されていましたが、腫瘍マーカーが基準値内までに下がりませんでした。
そのため今後の治療を誤ると、残った肝臓に肝転移が再燃してくる可能性が高いのでは、と考えました。
今月で4年8ヵ月が経過されます。
PET検査、下が最新のPET画像です。
残った肝臓への再燃はありません。
次はPET検査、正面画像です。
他臓器を含め、再燃はありません。
来年のバレンタインデーの頃に、私の所に来られてから5年になります。
この方は、ルミナルHER2タイプでした。
今を再燃なく元気に過ごされています。