Ⅵ 内分泌療法を行なって生き残った乳がんの多くは悪性化する | the east sky

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いつの日か、すべての進行乳がん(切除不能乳がん・転移乳がん・再発乳がん)が根治する日を願っています。

ER+(エストロゲン受容体陽性)乳がん

HR+(ホルモン受容体陽性)乳がん

Luminal type(ルミナルタイプ)乳がん


いずれもほぼ同じ意味で使われています。


そしてこれらの転移乳がん、再発乳がん、切除不能乳がんで、直ぐに命にかかわる様な状態に無い時、標準治療では、先ずは内分泌療法(ホルモン療法)±CDK4/6阻害薬が行われます。


フルベストラント(フェソロデックス)にCDK4/6阻害薬(パルボシクリブ=イブランス、アベマシクリブ=ベージニオ)を併用すると、転移乳がんの悪化を抑える期間をおよそ1年間延長させる事が出来ます(16.6ヶ月→24.8-28.2ヶ月)。

(ただし、解釈に注意が必要ですが、すべての人がこれだけの恩恵を受けるのでは無く、臨床試験に登録された患者さん集団の平均値です。)



ただ、内分泌療法薬であるフルベストラント(フェソロデックス)単独で転移巣が消える(検出できなくなる)可能性は約2%ですが、内分泌療法±CDK4/6阻害薬で転移が消える(検出できなくなる)可能性は、様々な前向き臨床試験の結果0-6%です。


つまり、転移巣の完全寛解(転移巣が消える、検出できなくなる)に関してのCDK4/6阻害薬の上乗せ効果はみられない。


よって、標準治療では、ほとんどの乳がんの転移は消えずに残ったまま。


そして、ほとんどの残った乳がんは、治療前の乳がんがそのまま残るのではなく、多剤耐性化した乳がんに変異して残ります。


なので、次の治療(二次治療)の反応性が落ちます。

=奏功率(治療が効く率)が低下し、奏功期間が短縮します。



これらから言えること


○ もし進行乳がん(切除不能乳がん・転移乳がん・再発乳がん)の根治を目指すなら、初期治療がとても重要で、根治を目指さない(目指さない)治療が入れば入るほど、根治は難しくなっていく、ということです。