入院騒ぎ(2)
激しい悪寒で目が覚めたのは夜の11時頃であった。踏み脱いでいた毛布を引き上げようとするのだが、身体が動かない、痛みで動かせない状態になっていたのだ。これは熱が出てくると思い、残りの抗生物質がポケットに入っているのを持って来てもらおうと家内を呼ぶだのだが、通じない。脇腹から背中にかけての痛みはひどく大きな声が出せない。尻を上下してドンドンと床をならしたが通じない。こんなときは本当に腹の立つもので、役立たずと思って、怒りが芽生えると身体は動かせた。自分で薬を探していると、風呂にのんびり入っていたらしい家内が僕の様子に気づき、病院関係者の電話番号はどこ?とわめきだした。こっちは痛いのと意識がいま一つ朦朧としていて、口答えできず、パソコンに入っていると言ったのだが、家内は僕のパソコンはいじれない。家内は「夜中に救急車を呼ぶのはごめんやから、今からもっとひどくなるのに決まっているから」と、明日の朝まで辛抱できるという僕が言うのも聞かず、病院に電話をしていた、受話器を持ってこられたので仕方なく、今から行っても大丈夫かを確認、IDを聞かれたが、身体が曲げられず、探せない。生年月日と氏名でカルテはOKとなり、車で病院に駆け込んだ。いざ、病院に行くとなると、しゃんとするもので、自分で車を運転して病院に行った。家内がついて来たが、ガレージから車を出してもなかなか乗り込んでこないのでいらつくことしきりであったが、声が出せないほど痛いので、ケンカにならずにすんだ。
当直の看護婦は9年前の教え子で助かった。こんなとき知り合いであるのとそうでないのとでは安堵感が違う。11時半であった。夜間救急外来の待合室には7人ほど先客が居た。これはたまらないなと思ったが、聞こえてくる話の中味から、患者は1人で、付き添いが多数であることがわかり、ほっとした(どうやら糖尿病の患者らしく、昏睡して家族が運び込んだ模様)。横になった方が楽かも知れないと思ったが、がんばって前の椅子の背にもたれて5分ほど診察を待った。この頃、排尿も通常通りなので膀胱炎ではなく自分では腎臓結石だろうと思っていた。命に別状があるものではなく、あまり不安はなかったが、こんなに痛いものかとは思った。尿検査のための紙コップを渡されたときに看護婦が教え子であることを再確認できた。しかし、教え子であるのが判ると安心できるが、痛み止めの座薬を入れましょうかとか、血液検査の採血時や点滴の針を刺すときに、「先生、緊張するわ」とか言われるのにはちょっと困った。
30後半という見かけの内科医は、僕の痛がりよう、痛さの性質(念のために記載するが、疼痛でも50肩でのような激痛でもない。叩くとお腹全体に響く鈍痛で、止めて、何でもします、と言いたくなるような性質の痛みなのだ)と、尿に白血球が出てないことから、腎臓結石だろうと判断したようである。そこで、レントゲンを撮った。しかし、石らしきものは見いだせなかった。ほどなく、血液検査の結果が出て、それを見た担当医は即時に、白血球値が高い(4桁の数値を言った)、MCH(?)が高いので、腎盂炎のようです、入院する値ですねという。「それは困る」と僕は主張。明日、泌尿器科で見てもらいその結果で決めるということにしてもらった。こういうとき、若い医者より、年輩の方が押しが利く(カルテには看護学校の関係者であることの記載はあるのは知っているのだ)。
とりあえず、抗生物質ボルタレンの点滴を受け自宅に返してもらった。病院を出ると2時を回っていた。座薬の鎮痛剤(自分で入れたのは言うまでもない)が効いてきており、車まで歩いている途中、家内はちゃんと歩けている、やっぱり来てよかっただろうと恩着せがましかったが、否定できないので、来るときもちゃんと歩いていたと抗弁して置くにとどめた。
当直の看護婦は9年前の教え子で助かった。こんなとき知り合いであるのとそうでないのとでは安堵感が違う。11時半であった。夜間救急外来の待合室には7人ほど先客が居た。これはたまらないなと思ったが、聞こえてくる話の中味から、患者は1人で、付き添いが多数であることがわかり、ほっとした(どうやら糖尿病の患者らしく、昏睡して家族が運び込んだ模様)。横になった方が楽かも知れないと思ったが、がんばって前の椅子の背にもたれて5分ほど診察を待った。この頃、排尿も通常通りなので膀胱炎ではなく自分では腎臓結石だろうと思っていた。命に別状があるものではなく、あまり不安はなかったが、こんなに痛いものかとは思った。尿検査のための紙コップを渡されたときに看護婦が教え子であることを再確認できた。しかし、教え子であるのが判ると安心できるが、痛み止めの座薬を入れましょうかとか、血液検査の採血時や点滴の針を刺すときに、「先生、緊張するわ」とか言われるのにはちょっと困った。
30後半という見かけの内科医は、僕の痛がりよう、痛さの性質(念のために記載するが、疼痛でも50肩でのような激痛でもない。叩くとお腹全体に響く鈍痛で、止めて、何でもします、と言いたくなるような性質の痛みなのだ)と、尿に白血球が出てないことから、腎臓結石だろうと判断したようである。そこで、レントゲンを撮った。しかし、石らしきものは見いだせなかった。ほどなく、血液検査の結果が出て、それを見た担当医は即時に、白血球値が高い(4桁の数値を言った)、MCH(?)が高いので、腎盂炎のようです、入院する値ですねという。「それは困る」と僕は主張。明日、泌尿器科で見てもらいその結果で決めるということにしてもらった。こういうとき、若い医者より、年輩の方が押しが利く(カルテには看護学校の関係者であることの記載はあるのは知っているのだ)。
とりあえず、抗生物質ボルタレンの点滴を受け自宅に返してもらった。病院を出ると2時を回っていた。座薬の鎮痛剤(自分で入れたのは言うまでもない)が効いてきており、車まで歩いている途中、家内はちゃんと歩けている、やっぱり来てよかっただろうと恩着せがましかったが、否定できないので、来るときもちゃんと歩いていたと抗弁して置くにとどめた。