バンコク郊外の「恵みの雨」という意味の名を持つお寺で僧侶の占いを受けてきました。僕が着いたとき、占いをするお堂には既に5組ほど先客があり、熱心に僧侶の言葉に耳を傾けていました。
(意外とこれは人気の占いなんだな)
と思い、生年月日と曜日を聞いてから150年のカレンダーをめくって占う僧侶を興味深く眺めながら僕もお堂の中で座って待ちました。
そのとき占ってもらっていた少年は両親付き添いの中学生でしたが、両親の
「この子の非行はなんとかならないでしょうか? 学校でも問題ばかり起こして・・・」
という問いに僧侶の答えは
「非行は良くはならん。いずれ警察にも捕まって両親にも多大な出費と災難が降りかかるであろう。」
という何とも無慈悲なものでした。
両親がわぁーと泣き出したのを見て
(寺の占いというのは予言めいたものはあまり無く、半分説法みたいものだろう)
ぐらいに考えていた僕を慄然とさせたのです。
次に占ってもらったのは40代の男で
「俺はカミさんが浮気するのが心配でしょうがねぇ。あいつが浮気するか占ってください。」
というもので僧侶とのやりとりを聞いていると、この男自身2人の愛人があり、(それでも俺はあいつの浮気だけはゆるせねぇ)というもので待っていた女性陣の呆れた視線を浴びていました。僧侶の言葉は
「おまえの嫁は浮気などする性格ではない」
という一方、
「しかしお前自身、将来に困難が待ち受けており成功できない」
という厳しいものでしたが、この男、とりあえず浮気はないという言葉に安堵したのか、早速携帯を取り出し愛人のところに今から行くという連絡をしている様子で、煩悩の鬼に取り憑かれた者の姿をまざまざと見せてくれました。
さて、このように順番を待っている間に次々に非常に厳しい占いの言葉を受けるのを見ていたのですが、もちろん僧侶からは厳しい一方ではなく、救いの言葉もかけられたとはいえ、普段他人から厳しい言葉を受けるのを良しとしないタイ人の性格からしてどこまで真摯に受け止めているだろうか、という気もしました。案外、(それなら別の占い師に行ってこよう)と考えた者もいたかもしれません。
ちなみに3時間も待って行われた僕自身の占いは意外なほど前途の明るい良い言葉をいただき、同時に僧侶からプラクルアン(ペンダント状のお守り)もいただいて、前のタイ人との落差にびっくりしてしまったのでした。