どうも、Kです。
ファンタジー物というのは
終わりが見えないものでして、
Y嬢のいう折り返しというのが
てんで分からないんですよねぇ。
まあ、
出来る限りやってみましょう。
では、本編を。
ハナユキと名乗った彼は、
飄々とした調子で私の目の前まで歩み寄った。
「う~ん、君が幸代の孫かぁ。本当に若い頃の彼女にそっくりだ」
「お祖母ちゃんのこと知ってるの?」
「もちろんさ、というよりこの学校の教員のほとんどは彼女を知ってるよ」
「そうなんだ……」
私とハナユキ先生が雑談をしていると、
腰に手を当てた寮監が横から口を挟んだ。
「ほらほら、もう授業は始まっているんですよ。担任が一緒になって遊んでないで」
「いやだなぁ、みっちゃん。君はもう美幸と話をしたんだろう? 俺だって幸代のこと聞きたいよ」
「だから名前で呼ばないでって言ってるでしょう!」
ハナユキの言葉を聞いた途端、
寮監は右手に握りこぶしをつくると、
ハナユキに向かって思い切り振り抜いた。
しかし、寮監の右こぶしが
ハナユキに当たろうかという瞬間、
彼の体は白い花弁となって霧散したのだ。
「危ないなぁ。良い名前なんだから怒らなくたっていいだろー」
「ひゃっ」
突然、後ろから声がして、私が振り返ると、
そこには平然とした様子でハナユキ先生が立っていた。
「ようし、美幸ちゃん。ちょっとあっち行こうか」
そういうと彼は武道場の隅にある
古ぼけた木製の机を指差した。
「は、はい」
私は彼に従ってそちらに向かった。
後ろでは寮監がまだ名前の事で怒気を飛ばしていたが、
ハナユキは気にする素振りも見せなかった。
そうして私たちが椅子に腰掛けると、
ハナユキは大真面目な顔をして話し始めた。
「じゃあ、魔法の適性を調べようか」
「あ、はい」
私が答えると彼は、よしよし、と言って
綺麗な薄い桜色の着物の袖口から一枚の和紙を取り出した。
「まず最初に言っとくけど、オールマイティの適性ってのは非常に厄介なんだ。何故なら、どの種族の魔法がどの程度使えるかってのは曖昧にしか分からないんだ。まあ、色々使っていけば自然と分かるけどね」
そう言いながら、彼は和紙に三角形のグラフを描いた。
そして、次に折り紙を和紙と同じように袖口から取り出した
「じゃあ、まずは極東魔術から。代表的な道具がこれね、折り紙」
「折り紙をどうするの?」
手渡された折り紙を両手で持つが、
これといって特徴も無い黒白の折り紙だ。
「黒を表にして机に置き、その上から手を重ねる。はい、やってみて」
ハナユキ先生の言うとおりに私が手を置くと、
急に重ねた手のひらが熱くなっていった。
「わぁっ!」
突然の事に驚き、私が手を離すと
ハナユキ先生は折り紙を摘み、
裏返しにして見せる。
「あ、青くなってる…!」
私の手の置いていた部分だけが
白から青に変わっていたのである。
「読見石と違って、今回は極東魔術に限っての君の適性を見たんだ。うん、鮮やかな青だね。極東魔術、良好…と」
ハナユキ先生はそう言うと、
最初に出した和紙に描かれた
三角グラフの一角に“良”と書いた。
「それじゃあ次は…」
ハナユキ先生が何か言おうとしたところで武道場の入り口がスッと開いた。
私がちらりとそちらを見ると、ミギーがオレンジの髪を寝癖で跳ねさせている
少女、キノットを引き連れて入った所だった。
「おー、良い所に来たな。ミギー! キノットを連れてこっち来てくれ」
「えー、もう僕くたくただよー」
ほとんど背負っていると言ってもいいほど
キノットはミギーに身体を預けていた。
そんなミギーは私たちが座る机にキノットを連れてきた。
いや、引きずって来たと言った方が正しいかもしれない。
「はぁはぁ、キノット、起きなって。もう着いたよ」
「まだ、眠いですよ~………むにゃ…」
どうやらまた意識が夢の世界に飛び立ってしまったようで、
器用に立ったまま眠っている彼女を見て、ミギーはガックリとうな垂れた。
「仕方の無いヤツだなぁ。ミギーは授業に戻っていいぞ。あとは俺が起こすから」
ハナユキはピンクの髪をぼりぼりと掻くと、
着物の袖口から桜の花びらを一枚取り出した。
それにしても、あの袖口からは何でも出てくるのね。
私がそんなことに感心していると、
ハナユキ先生はその花びらを口に当てた。
すると、
「こらっ! キノ、起きなさーいっ!!」
ハナユキ先生の声が別の少女のものに変わったのだ。
「は、はいっ!」
そして、すやすやと睡眠中だったキノットは
その少女の声が聞こえた途端、
背筋をピンッと伸ばして跳ね起きたのである。
「ふふ、これが俺の得意な極東花魔術さ。面白いだろ?」
「えぇっ、今のハナユキ先生?」
私が困惑していると、
ハナユキ先生は自分が
変装が得意なんだ、と教えてくれた。
「あ、あれー? 今、サヤの声がしたような」
どうやらキノットも完全に起きたようで、辺りをくるくると見渡している。
「おはよう、キノット」
「あ、ハナ先生。おはようございますぅ…あら、そちらは?」
ハナユキ先生はキノットの方に私を向かせた。
「彼女は転校生の美幸だ」
「そうなんですかー。よろしくお願いしますぅ」
「うん。よろしくね」
なんだかおっとりとした雰囲気をかもし出す女の子だ。
握手をした手もふわふわとしていて柔らかい。
「じゃあ、東洋大陸魔術の適性判断はキノットに手伝ってもらおう」
ハナユキ先生はそう言うと、
握手中のキノットに何やら耳打ちをした。
すると突然、手が熱くなる感覚と共に、
キノットの手が黄色く光りだした。
「キノットはうちのクラスでも有数の東洋大陸魔術の使い手だ。それにどの程度対抗できるかってのを見る」
ハナユキ先生の説明が私の耳に届いた時には、
私の手もキノットの手に連動するように黄色く光りだしていた。
続く、、
段々と一話の長さが
とんでもない事になっちゃってますね。
というか、
美幸の話ばっかじゃなくて、
幸人にも話を振らないとなぁ。
本当に幸人が空気になってしまう。