こんにちは。Yです。
前回の更新からだいぶ時間が経ってしまいました。
まじでリアルに忙しかったんです…
これ以上書くと長くなりそうなんで、、
それでは本編を。
お膳に並べられた色とりどりの料理をつまみつつ
楽しげな夕食のひと時が繰り広げられる中、
焦りの混じったような足音が食堂に近づいてきた。
足音は食堂の前で止まり、勢いよく扉が開かれる。
「たいへんだぁ!!」
飛び込んできた少年・ヘデラは、
顔に焦燥の色を浮かべ
【い】組みの輪に駆け寄ってきた。
「どうしたんだ」
眉間に幾重もの皺を刻んだユリシスが立ち上がる。
【い】組の生徒も、その場に居合わせた【ぬ】組の生徒も
皆一様に不安げな顔を見合わせている。
息を切らせたヘデラは膝に手をつき
ユリシスを見上げた。
「『まぁくん』が、いなくなっちゃった…」
「「「「「「「「「げっ!!」」」」」」」」」
食堂にいるみんなの顔が、一斉に引きつった。
そんな中、事態が全く把握できていない美幸と幸人は
ぽかん、とした表情で首をかしげている。
ユリシスはふぅ、と一呼吸おくと
ヘデラの肩にぽんと手を置いた。
「どういうことだ」
冷静にと努めるユリシスだが、
その手には心なしか力がこもっているように見受けられる。
「俺が午後の授業に出ようとしたときは昼寝してたから
部屋のプランターにおいてきちゃったんだ。
それでさっき、迎えに行ったらもぬけの殻で…
たぶんまた俺を探しに行っちゃったんじゃないかと…」
あぁぁ、と頭を抱え込むヘデラ。
その姿を険しい表情で見下ろしていたユリシスは、
ゆっくりと顔を上げた。
「ヘデラのマンドラゴラがまた脱走した。
手分けして探そう。
すまないが【ぬ】組の諸君も頼む」
両クラスの生徒たちが一斉に頷く。
ユリシスはそれを見ると二言目を続けた。
「厨房でキムチかビールを貰って、
部屋ごとの2人1組で各フロアに散ってくれ。
なお、ここを出る際には耳栓を忘れずに」
皆がぱらぱらと動き出す。
その間を縫うようにして、ユリシスは
【ぬ】組の一人の生徒に歩み寄った。
長く、波打つような深緑の髪をした少女だった。
「サヤ、拡散お願いできるか?」
少女はにっこり笑うと、
大きく息を吸った。
みなさん、お食事中失礼いたします
ヘデラのマンドラゴラがまた迷子になってしまったようです
各自警戒するとともに、
見つけたら食堂まで連れてくるようお願いいたします
泣いていたらいつも通りキムチかビールを与えてください
けっして大きな声ではない。
しかしその美しく響き渡る声は、
聴く者を魅了する力をもつものであった。
「これがマーメイドの声だよ」
声に聞き入っていた美幸は、はっ、と我に返った。
隣でミギーがにこにこと微笑みかけている。
「ミギーっ!!
まぁくんって?
マンドラゴラって??
キムチとビールって???」
美幸は溜まっていた疑問を一気にぶつけた。
「美幸、落ち着いて。
とりあえず厨房に向おう」
ミギーは美幸の手を引き、歩き出した。
「マンドラゴラっていうのは、魔法植物のことだよ」
ミギーは足早に歩きながら、早口で説明を始めた。
「その根っこからはいろんな薬が作れるんだ。
で、『まぁくん』っていうのは、ヘデラが創ったマンドラゴラの改良品さ」
美幸は、うんうん、と頷く。
ミギーはそれを確認すると、また続けた。
「大きさは20㎝くらいで普通のヤツよりヒトに近い形をしているんだ。
『まぁくん』は5、6歳くらいの男の子みたいなかんじだよ。
それで、ヒトの言葉を理解してコミュニケーションもとれるんだけど、
まぁちょっと問題点もたくさんあってさ…」
「どういうこと?」
美幸がクエスチョンマークを浮かべた。
ははっ、と乾いた笑みを浮かべるミギー。
「感情も発達しちゃって、ヘデラが視界から消えると泣き出すんだ」
「え?泣いちゃうの?それだけ?」
そりゃまぁ小さい子が一人で不安にでもなったりしたら、
泣いちゃうこともあるわよね。幸人もたまに泣いてるし。
「美幸…マンドラゴラの泣き声は聴いたら死ぬんだよ…」
「え!?」
美幸は目を見開いた。
死んじゃうって、え?
「普通のマンドラゴラの泣き声っていうのは、成長途中のものでも
聴いたら失神しちゃうくらいすごい威力なんだ。
もっとも、『まぁくん』は改良してあるから死にはしないけど、
失神はしちゃうよ」
はぁー、と大きな溜め息。
「だから、ユリシスも耳栓がどうのっていっていたのね。
じゃあキムチとビールは?」
「あぁ、それは『まぁくん』が好きなんだよ」
「…え?」
美幸は聞き返すように、ミギーを見上げた。
ミギーは何が、と言った風に首をかしげる。
「小さい男の子がビールなんか飲むの?」
納得したかのように、あぁ、とミギーは美幸のほうを見た。
「『まぁくん』は見た目子どもなんだけど、
創られてからはもう20年くらい経っているんだよ」
根野菜以外何でも食べるんだけどねー、一番はビールとキムチみたい
と、ミギーは続けた。
「マンドラゴラの『まぁくん』って中身おぢさんね…」
美幸はぽつんと呟く。
ミユキの呟きにミギーは苦笑した。
「たしかに…
あ、ここが厨房だよ」
茶色い引き戸を引くと、
そこには2人の想像していなかった光景が広がっていた。
続け。
いつもキノットを起こしているというサヤちゃん登場。
人魚さんなんですねー
マンドラゴラの『まぁくん』は私の知人がモデルです。笑
じゃ、遅くなっちゃったけど
次よろしく^^*