FLICKS FREAK -33ページ目

FLICKS FREAK

いやぁ、映画って本当にいいもんですね~

 

監督は『37セカンズ』(2020)のHIKARI監督。『37セカンズ』は、出生時に37秒間呼吸が止まったことで脳性麻痺となった女性が、母親の過剰な干渉に悩みながらも一人の人間として成長していく過程を描いた秀作だった。その前作が映画初監督作品であり、それに続く2作目が本作。

 

「家族レンタルサービス」が実在するとは寡聞にして知らなかったが、ググってみると家族レンタル・代行業者が複数存在しており、料金相場は「2時間1万円~1.2万円+交通費」程度らしい。雇う人だけとの交渉なら問題ないだろうが、そのほかの人と交渉する場で他人になりすますこのビジネスは合法なのだろうか、何かトラブルの原因にならないだろうかと思わないでもなかった。

 

主人公フィリップは売れない役者。アメリカ人だが、日本の歯磨き粉のCMで知られることになったことをきっかけに日本で活動している。その彼が役者のキャリアを生かしたバイト感覚で始めたのが家族レンタルサービス。色々な役回りをこなすが、話の中心となっているのは、有名私立小学校(舞台は青山学院初等部)の編入試験で片親であるハンデを避けるために父親をレンタルするというもの。その娘と偽の父親の交流がほのぼのとしていた。

 

当然嘘はバレるので、その時に娘が傷つくことは間違いがなく、その辺りの展開がお涙頂戴物語ではあった。好感度大のブレンダン・フレイザーと子供という組み合わせの物語はずるいとしか言いようがない。しかし、ぎりぎりあざとさを避けていたのはブレンダン・フレイザーの演技力のなせる業。『ザ・ホエール』でアカデミー主演男優賞を獲っただけのことはあった(自分がこの作品で一番感動したシーンは、美亜との関係ではなく、フィリップのレンタル家族としての初仕事の結婚式新郎役がなぜ必要だったかの種明しで)。そしてレンタルファミリー社のオーナーの多田役を演じた平岳大、レンタルファミリー社で先輩社員の愛子を演じた山本真理の演技も素晴らしかった。彼らの演技が、少々単調なこの物語を引き立たせていた。柄本明はいつもの柄本明。

 

HIKARI監督はロサンゼルスに在住し、ハリウッドを中心に活動している。日本人監督らしく美しい日本の風景の描き方は的確なものがあった。海外ドラマ『将軍 SHOGUN』の石田三成役の平岳大起用は、外人観客を意識したのかも。

 

深みはないがシンプルにほのぼの感動できる作品(先に述べたこのビジネスのいかがわしさは拭えないが)。今年は神楽坂化け猫フェスティバルに行ってみようと思っている。
 

★★★★★★ (6/10)

 

『レンタル・ファミリー』予告編