『犬猿』 (2018) 吉田恵輔監督 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~

 

監督デビュー作の『なま夏』は、当時23歳の蒼井そらが女子高生を演じたエロティック・コメディ。個人的に好きな作品(この作品は、同年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭のファンタスティック・オフシアター・コンペティション部門でグランプリを獲得している)。その後、特に注目していたわけではないが、久々に観た『ヒメアノ~ル』(2016年)は悪くなかった。人間の暗部を時にコミカルに描き出すのがうまいという印象。この作品も、まさにそうした作品。

 

印刷会社の営業として働く真面目な金山和成には、刑務所から出所したばかりのトラブルメーカーの兄・卓司がいた。そして、和成に思いを寄せる幾野由利亜は、ブスだが機転が利き、家業の印刷工場を切り盛りしている。由利亜の妹・真子は容姿はよいもののそれ以外に取り柄はなく、印刷工場を手伝いながら芸能活動をしている。そんな相性の悪い2組の兄弟姉妹が、それまで互いに対して抱えてきた複雑な感情をついに爆発させるときが来る。

 

兄弟・姉妹の関係には、時に羨望や嫉妬が混じり、それがこじれてうまくいかないことはままある。そうした「あるある」をふんだんに交えて物語は展開する。そして、「そうは言ってもやはり仲よくあるべきだよね」的にきれいにまとめないところがいい。監督自らのオリジナル脚本によるストーリーは、驚くほどの意外感こそないもののよくできていた。

 

キャスティングもいい。4人が4人とも役にぴたりとはまっていた。

 

観て損はない。特に兄弟・姉妹がいる人には、共感できるところがあるはず。

 

★★★★★★★ (7/10)

 

『犬猿』予告編