今年の第70回カンヌ国際映画祭パルムドール・ノミネート作品(受賞は『The Square』)。カンヌとの相性が悪い自分だが、この作品は別だった。

 

ニューヨークの最下層で、行き場のない人生を送るコニーと知的障害の弟ニック。ある日2人は銀行強盗をし、成功したかに見えたのは、ダイパックが破裂してゲッタウェイカーの中で染料をまき散らすまでだった。彼らは警察に追われながら逃げるが、警官の姿を見てパニックに陥ったニックは逮捕され一人刑務所に送られてしまう。コニーは彼の保釈のために金を工面しようとするが、保釈保障屋(bail bondsman)からニックが刑務所内でケンカに巻き込まれ病院に移送されたことを知る。コニーは病院に忍び込んで、ニックを助け出そうとするのだが。

 

新感覚クライム・サスペンスと言っていいだろう。なかなかの佳作。兄弟監督(弟のベニーは、この作品でニックを演じている)はこれまでに数本のドキュメンタリー映画を撮っており、この作品もドキュメンタリー・タッチのライブ感がある。ざらついた画像や、手ぶれの映像がそれらしいリアル感を生み出している。

 

ドキュメンタリー・タッチのクライム・サスペンスと言えば、個人的にとても気に入っている『ヴィクトリア』(2015年、セバスチャン・シッパー監督)があるが、この作品にも似た雰囲気がある。『ヴィクトリア』はハンドカメラによる編集なしのワンカット撮影という映像のこだわりがあったが、この作品でもクロースアップを多用したスピード感あるカット割りや色彩の鮮やかさなど映像のこだわりを感じた。『ヴィクトリア』がエモーショナルでウェットであることと比較すると、この作品はあくまでドライという違いはあるが。

 

主役のコニーを演じるのは(なんと)『トワイライト』のロバート・パティンソン。「なんと」と書いたのは、全く彼の印象ではなかったからである。あまり事前にこの作品の情報を仕入れていなかったので、観終わって調べて分かったほど。ニューヨークの街中での撮影でも、あばたのメーキャップを施した彼に道行く人は気づかなかったとロバート・パティンソンはご機嫌でインタビューに答えている。『トワイライト』は未鑑賞だが、彼が主演を務めた『コズモポリス』は映画が最低だっただけに、彼の演技も全く印象に残らなかった。この作品は、彼が性格俳優として演技ができることを示した作品。

 

ラストもあまり救いがあるわけではなく、明るい映画ではないが、リアリティ感にあふれたクライム・サスペンスというジャンルが好みであれば、観るべき作品だろう。

 

日本公開は11月3日予定。

 

★★★★★★ (6/10)

 

『グッド・タイム』予告編

AD