『Wind River (原題)』 (2017) テイラー・シェリダン監督

Sat, August 26, 2017 09:55:59 Theme: 洋画 ア行

 

脚本が『ボーダーライン』『最後の追跡』(アカデミー作品賞候補、日本未公開だがNetflixで配信中)と同じテイラー・シェリダンであれば、面白くないはずがない。そして本作は、TV俳優が本業のテイラー・シェリダンが自らメガホンを取った作品(彼の監督作品としては2011年のホラー映画『Vile』に続き第二作目)。

 

舞台はワイオミング州のインディアン居住区「Wind River」。FWS(Fish and Wildlife Service)のコリー・ランバート(ジェレミー・レナー)は雪深い荒野のまっただ中でレイプされた少女の死体を発見した。FBIは事件の捜査のために、新人捜査官のジェーン・バナー(エリザベス・オルセン)を現地に派遣した。自然の過酷さを甘く見ていたジェーンは捜査に難渋し、コリーに捜査への協力を依頼する。

 

遺体が発見された場所は周囲の施設から少なくとも10Kmは離れており、しかも少女は裸足でそこまで歩いてきた後、直接の死因は極寒の冷気を吸い込んで肺が凍ったためだという。どのようにして彼女がそこまでたどり着いたかが明らかにされるまで、ストーリーはミステリー仕立て。しかし、ミステリーが主題ではないのは、途中であっさりと過去にさかのぼった映像で種明かしがされることから分かる。

 

それでは脚本を書いたテイラー・シェリダンが言いたかったことは何かと言えば、舞台がインディアン居住区であり、犯罪の背景にネイティブ・アメリカンに対する差別が横たわっていること。

 

ワイオミング州はアメリカ全50州の中で10番目に面積は広いが、最も人口の少ない山岳地帯の州。冬は深い雪に閉ざされ、そうした中に閉じ込められていると一般人は時に狂気じみた暴力衝動を持つらしい(スタンリー・キューブリックの『シャイニング』を思い出す)。犯罪の動機にはそうしたものもありそう。

 

ジェレミー・レナー演じるコリーは家族代々長くその地に住み、元妻(娘の死をきっかけに離婚)はネイティブ・アメリカンであり、彼らと心を通じ合っているが、よそ者はそうではないのだろう。殺人事件が強く疑われる事件の捜査に、女性の新米捜査官が一人で送られてくるところもインディアン居住区での犯罪に対し、白人社会の無関心を伺わせる。

 

エンディングのテロップでは、アメリカでの行方不明者のデータはあるものの、インディアン居住区においてはないことが伝えられる。未解決の事件がアメリカの一般社会よりもはるかに多いという実状を訴えている。

 

ジェレミー・レナーは『ハート・ロッカー』の演技が印象的だが(アカデミー主演男優賞ノミネート)、家族の問題を抱えて苦悩しながらも優しさと強さを合わせ持つ役柄をこなす、この作品での彼の演技はそれ以上だった。

 

『ボーダーライン』や『最後の追跡』同様、アメリカのフロンティアを舞台にした、ハードコアでシリアスなクライム物。この系統が好きであれば、間違いなくお勧めできる。

 

★★★★★★ (6/10)

 

『Wind River』予告編

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