青少年のグループホームを舞台にした、デスティン・ダニエル・クレットン監督の前作『ショート・ターム』(2013年)は秀作だった。彼の新作である本作も、『ショート・ターム』と同じくブリー・ラーソンを主役に起用。ブリー・ラーソンは『ルーム』(2015年)でオスカー主演女優賞を受賞しているが、いずれの作品においても逆境に負けない芯の強い女性を演じている(『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』 (2010年)での彼女は違ったイメージだったが)。

 

原作は、ジャーナリストであるジャネット・ウォルスの自伝ノンフィクション『ガラスの城の子どもたち』。両親のネグレクトに強く立ち向かった子供たちのストーリーである。

 

ウディ・ハレルソン演じる父親は、頭脳明晰・博識でありながらアルコール依存症であり、長く定職に就くことなく、理想の家として「ガラスの城」の建築を夢見ている。ナオミ・ワッツ演じる母親は、天衣無縫のアーティストで、子供がお腹が空いたと言っても「あなたに作る料理は食べてしまえばなくなるけれども、私の描く絵は永遠に残るわ。どちらが大切か分かるでしょ」と言ってのける。こんな両親に育てられた(というか共生していた)子供たちは、自分で自分の世話をすることを強いられる。

 

他人の目から見ればネグレクトなのだが(映画の中でも、自分で食事の用意をしなくてはならなかったジャネットが火傷を負ったシーンでは、ソーシャルワーカーが親の虐待を疑っているという場面がある)、両親に子供たちに対する愛情がなかったかと言えば、むしろ人一倍強い愛情を持って接している。ただ彼らが世の中の常識にかからず、彼らの価値観に従って行動しているため、子供には強いストレスとなっているという状況。

 

一日でも早く自立できるための資金を稼いで、一人立ちしようとする4人の子どもたちだが、彼らも両親の愛情を感じていないわけではない。親と子の在り方に関して、深く考えさせられる作品だった。

 

社会のシステムを信用せず、自分の価値観の元に子供を育てる映画と言えばヴィゴ・モーテンセン主演の『はじまりへの旅』(2016年)を思わせるが、『はじまりへの旅』はあくまでフィクションであり、若干夢想的な印象があったが、この作品は現実の話がベースになっているだけあって、辛い部分もありなかなか一筋縄ではいかない印象だった。

 

親と子の関わり合いに関するfood for thoughtとして、興味があれば是非という作品。

 

★★★★★★ (6/10)

 

『The Glass Castle』予告編

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