この作品を観終わった後に銀行に立ち寄った。カナダの銀行では、窓口の銀行員が気軽に世間話をしてくる。
「今日は仕事だったのかい」
「いや、今映画を観てきたところ」
「そりゃいいな。どの映画だい?」
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol.2さ」
「へええ、どうだった?自分も観たんだけど」(カナダでは先週公開。彼も早速観てきたらしい)
「1作目の方が好きだな。より笑えるし。何よりストーリーがダメだよね」(と、この後に少しストーリーのどこがダメだったかを説明)
「そうかあ。ヴィジュアル・エフェクトはよりよかったし、十分楽しめる出来だったと思うけどね。自分は、続編では前作とは比較して考えないようにしてるんだ。その方が純粋に楽しめるしね」
銀行を後にして、なるほどと思った。前作が面白かったからこそ、続編を観るのだが、その面白かった前作と比較して続編がより面白いということは確率的には低いと言わざるを得ない。続編の方が面白いという場合、前作がつまらなければ、そもそも続編を観ることはないだろうし。
ということで、2014年の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の続編。前作は、公開時に観て予備知識がなかったがゆえストーリーをフォローできずに楽しめなかった作品。それが、人物相関関係を押さえた上で最近再鑑賞してすこぶる面白かった。マーベル作品の中では、『LOGAN/ローガン』『アイアンマン』に次いで好きな作品となった。
前作と比較するなと言っても、しない方が無理だろう。そしてその前作と比較すると少々がっかりする出来。
まずキャラクターの中で、前作で光っていたのはピーター・クイル、ヨンドゥ、そしてグルート。ピーターの笑えるシーンは格段に少なくなった。前作のロナンの気を引くためのダンスシーンのようなインパクトもなければ、ケビン・ベーコン・ネタのような分かりやすいジョークもない(それに代わるのがデビット・ハッセルホフ・ネタなのだろうが、日本人の自分にはピンと来なかった)。ヨンドゥは手下に慕われる親分肌がよく似合う。手下に見放される、今回の設定はあまり気に入らないところ。ベビー・グルートは批判されているほど(「キャラクターグッズを売るために、子供ウケを狙っている」)嫌な感じはなかったが、やはり前作のとぼけた雰囲気はなかった。
そして何よりストーリーが納得いかない。テーマは家族愛。血のつながった家族よりも苦楽を共にする「仲間」(=ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー)が家族であるというところなのだが、前作では生きているのか死んでいるのかも明らかにされなかったピーター・クイルの実の父(養父はヨンドゥ)が登場しながら、この展開はないだろう。
ヴィジュアル・エフェクトは素晴らしい。特に人物が小さく背景が大きいシーンでの奥行き感は3Dを前提にした撮影なのだろう(自分は3Dで鑑賞。お勧めは断然3D)。70-80年代ロックも前作同様イカしていた。
ということで、前作がよかっただけに辛めの評価にならざるを得ない。彼らは来年公開の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で大集合するという。アベンジャーズを評価しない者としては、少々残念なところ。
★★★★★ (5/10)