X-MENシリーズのウルヴァリンを主人公としたスピンオフ作品の3作目、そしてX-MENシリーズの同じくスピンオフ作品の『デッドプール』を含む10作目。この作品は、ウルヴァリンを主人公とする作品の中のみならず、X-MENシリーズ、そしてマーベル映画化作品の中でも最高作だと思う。これがウルヴァリンを主人公とする前作『ウルヴァリン: SAMURAI』と同じ監督の作品とは思えないほど素晴らしい作品。これまで、個人的には『アイアンマン』がベストのマーベル映画化作品であったが、それを上回る出来(それでもマーベル作品の中で、一番好きなキャラクターはアイアンマン/トニー・スタークだが)。

 

成功の鍵には、『デッドプール』でのR指定の成功が大きかったと思われる。この作品をR指定にするため、ヒュー・ジャックマンは出演料の減額を了承したと言われている。皮膚がんを患うヒュー・ジャックマンにとっては、多分最後のウルヴァリン役の出演となる本作品は、彼の代表作となるであろう。

 

時は2029年。ミュータントの多くが死滅してわずかな数しか生き残っていない。ローガンは、アダマンチウムが生み出す毒素に体を侵され、もはや不死身の体ではなかった。彼は、メキシコ国境近くの街で雇われのリムジン運転手として日銭を稼ぎながら、衰弱してスーパーパワーをコントロールできなくなったチャールズ・エグゼビアと、太陽光のもとでは生きられないミュータントのキャリバンと共にひっそりと暮らしていた。そんなある日、ローガンはヒスパニック系の看護師ガブリエラから救いを求められる。お金と引き換えに、少女ローラをカナダ国境に接するノースダコタまで送り届けてほしいというのだった。しかし、それは災いの始まりだった。図らずもローラを保護することになったローガンは、子供たちをミュータント化し兵器や殺人マシンに作り上げようとするトランシジェン研究所の襲撃を受ける。彼らの目的は、ガブリエラによって研究施設から連れ出されたローラを奪い返すことだった。

 

これまでX-MENシリーズは、どの作品もそこそこの出来ながら、イマ一つな印象だった。それはエモーショナルなドラマに欠けているからだと分かった。この作品では、チャールズとローガン、そしてローガンとローラ(ローラは、ローガンのジェネティックなクローンの「X-23」)の疑似親子関係の心情が実に情緒的に描かれ、彼らのドラマは切ない。このストーリーのよさが本作品のいい点であり、これまでのシリーズのほかの作品が子供向けとすら感じる。

 

ローラ(X-23)役のダフネ・キーンは、本作が映画初出演ながら、非常に印象的な演技(映画の前半2/3まで一言もセリフを発しない)だった。彼女の好演技もこの作品のよさに大きく貢献している。

 

トランシジェン研究所は、子供たちの心をコントロールできないことから、感情を持たないミュータントを最終兵器として生み出すが(X-24)、それがそのまんまウルヴァリンというのは少々解せないところ。『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』で、後のデッドプールとなる「ウェポンXI」がミュータントの特殊能力をテンコ盛りにしているのはやり過ぎ感があってシラケたが。

 

時代考証が未来の割に、未来っぽいところは高速道路の輸送トラックが自動運転になっているところくらいで、通行している自動車が全て現在のモデルというのは若干の手抜きだが、それは勘弁してくれというところなのだろうか。

 

X-MENシリーズのファン以外は観ないのかもしれないが、そうでない人もかなり楽しめるはず。そしてX-MENシリーズのファンは見逃すことができない傑作。

 

ちなみに映画はデッドプールのおまけ映像で始まり、その代わりマーベル作品お約束のエンディングロール後のおまけ映像はない。

 

★★★★★★★ (7/10)

 

『LOGAN/ローガン』予告編