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長い年月の経過に耐える作品は、感動の名作が多いと思われるが、1950年のこの作品は、スターにのし上がるために人を騙して踏み台にする悪女の物語。クラシック作品ながら今観ても面白い、「感動の名作」ではない名作だった。実在の人物をモデルにした小説の映画化作品。
アメリカ演劇界最高の栄誉である賞が、新進女優イヴ・ハリントンに与えられた。満場の拍手の中で、イヴの本当の姿を知る数人の人達だけは、複雑な表情で彼女の受賞を見守っていた。
8ケ月前、毎夜劇場の楽屋口で大女優マーゴ・チャニングに憧れ出待ちしていた田舎娘イヴは、ふとしたきっかけでマーゴに紹介されることになった。その哀れな身上話はひどくマーゴを感動させ、マーゴは彼女を住み込みの秘書にする。最初は親愛の情を持って接していたマーゴだったが、あまりに何にでも気の付くイヴの利発さと回りが彼女を褒めそやす態度に、次第に警戒心を抱き始めるのだった。そして、マーゴの代役の座を射止めたイヴが、そのチャンスを逃すことはなかった。
映画の前半では、イヴの無垢な言動に、観ているこちらも騙されてしまう。オチが最初に明らかにされていて、どうしてそうなるのだろうという興味が、常に映画に注意を引きつけた。
実際には似たような話はいかにもありそうだが、それをうまく物語に仕立てていた。ラストシーンのひねりもなかなか。人の業の深さを見せつけられた。おまけだが、駈け出しの頃のマリリン・モンローが出演している。彼女の演技はかなり素人っぽいが、その美貌は隠せないという感じ。クラシック作品の中でもお勧めの一本。
★★★★★★ (6/10)
『イヴの総て』予告編