34期(4月入学)生と35期(10月入学生)の合同制作、まだ完成に至っていないのですが、卒業も近いことなので、一足早く、振り返りを行いました。


学生から多く出てくるのは「時間通りに撮影が終えられてよかった」という言葉。
撮影中もよく耳にします。
 

 

予定時間をオーバーしている意味での「押してる?」、時間より早く進んでいる意味での「巻いてる?」と。


私はこの意識はあまりいいことだとは思っていません。
 

 

もちろん、予定通りに撮影が終わることは重要です。
 

 

しかし、それを監督や俳優部に何度も伝えて、「巻く」ことには何ら意味がないと思うのです。
 

 

芝居そのもののスピードを上げることなどできずはずがありません。
 

 

ただ焦らせて演出も芝居も雑になるだけです。


ですので、学生には「押してる」「巻いてる」という言葉を口にすることを禁じています。
 

 

また、監督や俳優部を急かす空気を出すなとも教えています。


でも、これは定着できなかったですね……
 

 

学生は分かり易い成果を出したがりますから。


時間通り終わることも重要だが、いい素材を撮ることが最優先という意識を最後にもう一度伝えたいと思います。


今日はいよいよ撮影本番でした。

 

都内の公園で丸一日掛けての撮影だったのですが、とにかく風が強い。
 

 

台風並に立っていられなく、ちょっと気を抜いたら、機材が倒れたり飛ばされたり。
 

 

そして、何よりも砂埃が尋常じゃない……
 

 

精密機械にとって水分も敵ですが、砂粒が入り込むと、損傷が起こるんですよね……
 

 

こんなに困難な気象条件はめったにないと言い切れます。


と、つらいお話ではありますが、いいこともあります。
 

 

こんな状況だからこそ、人は団結できるという側面です。
 

 

今回の制作は後輩が監督やカメラマンのメインスタッフになり、先輩がサブスタッフになることで、いろいろギクシャクしてしまっていることがありました。
 

 

撮影前日の深夜になっても相談の連絡が来るほど。
 

 

果たしてちゃんと撮影ができるのだろうかとの不安に襲われました。
 

 

が、当日になってみれば強風という共通の敵が現れたことで、学生が一致団結するという……、まあ、よくある話ですけどね(苦笑)


実際、プロの撮影現場でもよくあることです。
 

 

今回のことは彼らにとってとてもいい経験になったと思います。
 

 

でもこんな強風だけはそうそうめったにないです(笑)

 



今取り組んでいる、34期(4月入学)生と35期(10月入学)の合同制作ですが、フツウ、先輩が監督をやると思いますよね?

 

 

いつもそうですし、そういう前提で課題にしたんですが、なんと、監督は35期生なんです。
 

 

インターンシップや就活、他の課題との兼ね合いがあった結果なんですが、なかなかのチャレンジングな子たちです。
 

 

とはいえ、人に教えるときは一番学びにつながるものなので、これはこれでアリだと信じます(笑)


初めての監督って、なんでもやりたがるものです。
 

 

正確に言うと、何でもやらなければらないと思い込んでしまうんですね。
 

 

監督の仕事って分かるようで分かりにくいもので、誤解されがちです。
 

 

監督だけがやれる仕事は「芝居を付ける」ことです。これが最優先になります。
 

 

にもかかわらず、スケジュールの管理やら、撮影の進行をしてみたり、要は撮影の段取りをしてしまう。
 

 

それは演出部の仕事であって、チーフ助監督がスケジュールを管理して、進行はセカンド助監督と役割が決まっているものです。
 

 

乱暴にいえば、監督はとことんやりたいようにやって、スタッフをやきもきさせていいのですよ!
 

 

ここらへんの発想の転換をするのが、学校での実習での最初の学びです。
 

 

1年近く散々経験してきた34期生はそれが分かっていますから、後輩の気持ちは痛いほど分かるでしょう。


ちょっと面白い制作になりつつあります。
 

 

今月いっぱいになりますが、みんなで協力して頑張っていきましょう!

最近、『家政婦クロミは腐った家族を許さない』にハマっています。
https://www.tv-tokyo.co.jp/kaseifukuromi/


「最恐家政婦が引き起こす家族崩壊のファミリー・パニックホラー!」の触れ込みですが、これがなかなかに怖くて面白いんです。
 

 

奇をてらった演出をしてそうですが、そこはいたってオーソドックス。
 

 

特に構図の決め方はまさに楷書で、とてもキマっています。

 

 

例えば、被写体を真正面から捉えた構図。

 

 

ほとんどカメラ目線なのですが、ほんのわずかに左右にずれています。
 

 

これはとても重要なことで、フィクションでは原則的にカメラ目線はやりません。
 

 

観客は、あくまで客観的に物語を見ている位置付けなので、カメラ目線=二人称になるのは視点のブレが生じるためです。
 

 

ひるがえって、CMやニュースなどは、まさに「あなたに」語りかけるのでカメラ目線になります。

 



学生が演出すると、とかくカメラ目線をやりたがります。

 

このドラマのようにほんのわずか左右にズラしていることに気づいていないんですね……
 

 

あからさまに気づくことではないのですが、おかしなことが溜まっていくと視聴する上で大きなストレスになるんです。


演出は一朝一夕に身に付くものではないので、日々、いろんな作品から吸収していってくださいね。